子カバのかば野郎〜!

子カバたちが春休み中の、暖かなある日の事でした。
子供部屋でいきなり、カバ姉妹ケンカが始まった。しばらく私は放っておいたが、案の定最後は二女が泣き出した。 私は二女のその悲痛な泣声に現場に引き寄せられた。現場では、長女が仁王立ちしていて、二女は、いかにも的な 被害者面をしていた。原因はなんとなく私には判っていたのだが、一応「どうしたの?」と聞いてみた。

二女はさっきまで外遊びしていて泥ん子になって帰宅し、シャワーを浴びて頭も洗っていた。 そしてケンカの原因はそこから始まった様である。二女はシャワー後の着替えに長女のトレーナーを着たのだった。 しかし、そのトレーナーはたった1着しかない「よそ行き」のトレーナーとして、 いつも長女が大事に着てたヤツで、ちゃんとハンガーに掛けて置いていたものだったのだ。 それを二女が、まだ濡れた髪して着たもんだから当然、長女は、「脱いでよ!」と怒る。 しかし二女はごちゃごちゃ言いながら中々脱がなかったもんだから、長女がぶったらしい。

ぶった長女も悪いのは悪いけど、二女の口応えは半端じゃない。
私は、この頑固な二女をどうやって、どんな風に叱ったらいいのか、少し考えた・・・。 とりあえず、すぐトレーナーを脱がせて、まだぐずってる二女をソファーに座らせた。 私は泣いてる二女をじっと見ていた。。。。今、頭ごなしに叱ってもコイツはきっと 反抗するだけだろうから、泣き止むまで待とうと思った。

しばらくして、少し泣き止んだ時に次の3つをやさしく話した。
@お姉ちゃんの物はアンタの物じゃない、
Aお姉ちゃんは、いつも我慢しているんだよ、
Bお姉ちゃんと同じ事をやろうと思っても3つの歳の差は今はまだ大きいよって事を 言った後、今度は二女の心をくすぐる作戦に出た。
「お姉ちゃんの真似ばっかりしてないで、違う事をやった方が良いと思うなぁ、 アンタの方が足が長くてスタイル抜群に良いんだから、お姉ちゃんの服着たって ブカブカだし、せっかくの良いスタイルが見えなくなっちゃうでしょ?」と。 すると、うな垂れていたアタマが少し上がり、素直にウン、と頷いた。 私は、ヨッシャ!と想い、そこから厳しく言った。

それから最後は長女を呼んで、謝らせてから仲直りしたのだが、 なんとその次の日、また友達と遊びに行くからと言って、あれこれ服を選んでいて、 こともあろうに、今度は私のお気に入りの「Tシャツ」を着てやがった!
「ちょっと、それお母さんのなんだから、脱ぎなさいよ」と言うと、 「だって他に着るのがないんだもん」とか言いやがる。 私は子カバタンスの引き出しを開けて、「ホラいろいろあるじゃない!」と言うと、 「それは、このジーパンには似合わないの」と言って中々脱がない。 私はこの時点で強引に脱がせたい気になり、「早く脱いでよ!」と服に手をかけると、 「脱がないとは言ってないじゃん」などと抜かしやがった。
その言葉でカッときた私に、今度はボソッと呟く様にこう言った・・
「・・ったく、お姉ちゃんみたい・・」と
このカバ野郎が〜っっ!!と叱りとばしていたら、その現場に長女が来たので、 「ちょっとコイツってば、ホント頭にくる事ばっかり言うんだよ」とチクったら、 長女が「だから昨日、お姉ちゃんがそうだったんだよ〜」と渋い顔。
私と長女で二女に昨日の事も促して言い寄ったら、やっと最後に反省して、 「ごめんなさい」をしたのだった。 私は、もうちょっとで、二女を蹴っとばすとこだった。

その後、二女は自分の服を着て外に遊びに行き、夕方になって「ただいま〜」と帰宅するなり、 「ハイ、これ♪」と、午前中の事は何も無かったかの様な顔つきで、公園に咲いてた ユキヤナギを私に手渡し、「お姉ちゃ〜ん♪」と、長女には近所の本屋の新刊情報を 細かに報告していた・・・。
「憎めないロクデナシ」とは、うちの二女の事だと思った。

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