世界で一番かわいいピー助

2001年3月
その日は私の誕生日で、プレゼントを買ってもらうために旦那と近所のホームセンターに行った。 前々から「セキセイインコが飼いたい」と決めていたから。
そしてそこで出会ったのが、ピー助(通称:ピーちゃん)だった。
今でもその時のことを鮮明に覚えている・・・

小鳥のコーナーはホームセンターの一角にあって、 そこにたどり着いた時、ちょうど女性の店員さんが数羽のセキセイインコの雛たちにエサを与えていた。
生まれて間もない雛たちはヨチヨチしながら、エサにあり付こうと押し合いへし合いしている中で、 一羽だけがその中に混じらずに、その店員さんの指の方にいた。私は不思議に思いながらその一羽をじっと見ていたら、 店員さんがそんな私に気が付いて、少し笑いながら、こう言った。
この子はとてもヤンチャで・・ほら、こうやって自分だけエサを私の手から直接貰うつもりなんですよ」と。
でもそう言いながら店員さんの笑顔は、一層ほころんで見えた。
そしてそれから1時間もしない内に、そのヤンチャ坊主は、Mikanんちの家族の一員になっていました。

店員さんが言っていた通り、ピーちゃんは毎日、何かしら、やらかして笑わせてくれました。
日中、ほとんど家の中で放し飼いにしてたから、 「かまって〜♪遊んで〜」とばかりにすぐ私の頭に飛んできては、ツツーと髪の毛を伝って、宙吊り状態で私の額辺りから顔だけを覗かせるピーちゃん。
私がパソコンに向かっているとそれを邪魔するかの様にキーボードの上を我がもの顔で闊歩するピーちゃん。
私が食事をする時以外でも、たとえばお菓子の袋を開けた「音」だけですぐ飛んでくるピーちゃん。
パンやお菓子等の食べ落ちたカスを皿に集めてピーちゃんにあげようすると必ずソッポ向いて、 「それじゃない」とばかりに、私が食べているそのものをせがむピーちゃん。
一緒にお風呂に入り、どっかのサルみたいにご満悦な顔して尻尾だけ浸かるピーちゃん。
本や新聞はもちろん、テーブルに置きっぱなしの書類等は全て、それらの端をガシガシかじってしまうピーちゃん。


旦那曰く「口調がオマエそっくり」で、夜明けからよく喋るピーちゃん。
夜は夜で、私が「ピーちゃん、おやすみよ〜」と言うと必ず「ピーチャンオハヨー」と喋って中々カゴに戻らない。
「おはよーじゃないよ、もう夜よ、ねんねよ」と叱るように言うと必ず「ピッ!」と逆切れして怒ってくるピーちゃん。
そうそう!一度だけ、私の飲みかけのコップ(冷茶)の端に飛んできた時は慌てた。
最初から不安定なその態勢に「あぶない!」と思った瞬間、そのままコップの中へ頭からドボン!

そんなヤンチャ坊主だったけど、私がたまに落ち込んだり、哀しい事があった時は、 ジッと私の顔を見て、黙って話しを聞いてくれていた。 そして私の話しが終わると、カゴの側面につかまったまま、クイッと頭を逆さにして、おどけた表情をして笑わせてくれる。
そうかと思えば、私が忙しくて相手する時間がなかった日や、飲みに出かけて夜遅くなった日の翌日などは必ず拗ねていた。 いつもならカゴの扉を開く前から扉の前でスタンバイしてるのに、拗ねている時は扉を開けても止まり木に後向きのままでカゴから出てこない。いくら呼んでも、後向きから肩越しにチラッと私を見るだけ。
(その拗ね方は歳をとってもずっと変わらなかったね。)

正直、毎日のカゴの掃除やエサ替えが面倒だと思ったこともあったし、 自分の都合や機嫌を優先していた時期もありました。 私の方が勝手な人間だったなと、ピーちゃんがいなくなって常々痛感する。
そして思う、こんな私をピーちゃんはどんな風に思っていたのだろうか?と。
きっと「まーた勝手なヤツだな」とか、「今日も出かけるの? ちぇっ」とか思っていたんじゃないかな。
そう思うと、ピーちゃんには「ごめんね」と「ありがとう」の言葉しか出てこない。

数年前くらいから「ピーちゃんも歳をとったな」と感じる事が多くなってからは、 一緒に過ごす時間を急に意識するようになった。それはピーちゃんも同じだったような気がしてならない。
その期間の色々な事は・・・・ちょっとまだ書くことができません。

なので、この日記の締めくくりは、その日、子カバ次女に送ったメール文を転載します。

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2014年4月8日、
今日夕方6時42分、ピーちゃんが息をひきとったよ。
今朝からぐったりしてたけど、それまではずっと頑張ってくれたんだよ。
最後は、力を振り絞って、私の声のする方向に這ってきてくれて、羽を広げて、天国に飛んで行くような姿だった。
最後までカッコいい奴だったよ!
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ピーちゃん、ありがとね♪



2014/07/18
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