潮干狩り

5月○日、ゴールデン・ウィーク真っ只中、二女が“どこか遊びに連れてって〜”と のたまった。しかしうちには遊ぶ金の余裕はほとんどない。仕方なく私は金がかからず収穫出来るものを考え、 潮干狩りを思い付いた。それになんとか1万円以内で納める為、高速にはのらず、ひたすら下の路を通って行こう、 それから弁当、水筒持参で行こうと決めた。
早速インターネットで潮干狩りの場所と干潮の時刻を調べた。行き先は千葉。無料駐車場があるのと干潮時刻で潮干狩り場を決めて、 クーラーボックスと持ち帰りの海水を入れる為のペットボトル、ビニール手袋、腰を痛めないミニ・チェアーを準備した。
出発当日、早朝から弁当を作り、近くの安売りスーパーで買ったお菓子を詰め、他にも長靴と長袖シャツを用意して自宅をAM5時に出た。 この時、車に付いてるナビに目的地を設定すると、到着予定時間はAM10時半と出た。干潮時刻はAM9時〜PM2時半だったので大丈夫だろうと思っていた。
早朝でもあったが、GW期間の都内はガラガラに空いていた。 これだと予定より早く到着するかもと甘い考えを持った矢先、都内を抜けて千葉県に入るとムチャ混んできた! アクアラインから入ってくる車の多い事、多い事。しかしそれでもなんとかAM10時には潮干狩り場の無料駐車場に入る事が出来た。
着いてすぐ私はトイレに行きたくなったので、辺りをウロウロしながら探していたが見当たらなかったので、車誘導のおじさんに訊ねたら、 潮干狩りの入り口前にあると教えてくれた。しかしその潮干狩り場の入り口が相当遠い所にある事を知ったのは、それから歩いて20分後だった。 しかも仮設トイレ前は長蛇の列。おまけにその列から見えた入場券売り場も長蛇の列。

トイレから引き返して歩く事また20分、家族は私の帰りが遅い事を心配しつつ車の中で先に弁当を食べていた。私は残りの弁当を口にしながら 、皆に潮干狩りの入り口ってかなり遠いから覚悟しといてネと告げた。それから潮干狩りの準備をして向かった。まず二女が「まだ先なの? まだ歩くの?」と 不満をもらす。「遠いなぁ〜」と旦那が言う。黙々と歩く長女。チクショー絶対たくさん採るぞと誓う私。
や〜っと入り口に着くと、入場券売り場にはさっきよりもっと長蛇の列が出来ていた。・・・マジかい?(--;

私だけその列に並んで家族の券を買った。そして潮干狩り場に入ると、すんごい、人・人・人・人!!
来た事を少々悔いた様な顔の長女、滅多に見ない海を眺めて楽しそうな顔の二女、既に運転で疲れ顔の旦那、 入場券で取られた金の分は採るぞ!と強い意気込みの私。 家族それぞれの面持ちで、適当な場所で貝掘りを始めた。すると、たくさん出てくる出てくる、小さな貝が!(ハマグリなんて一個もない!) しかし二女がとてもデカい貝を見つけると、長女と旦那が自分も負けじとデカイ貝を掘りあてるのに夢中になった。 私は小さい貝だってお味噌汁に入れたらウマイんだと思いつつ、既定のアミにどんどん詰め込んだ。
30分もすると、皆のアミが満杯になった。「んじゃ帰ろうか」と出口を見渡すと、出口での検査(既定以上採ると超過金を支払う)の為、 これまた長蛇の列が続いていた。仕方なく、採った貝は子供たちに任せて、私と旦那は一番後ろまで行って並んだ。がその内徐々に海が満ちてきた。 すぐに私の長靴まで入ってくる程満ちてきた。その為、旦那ひとりに任せて、私も子供達が待ってる前の方に移動した。
待ってる間、子供たちと座って砂場をほじって遊んでいたら、小さい子供が面白そうに海水の溜まった所をバシャバシャと足でハネて行く。 私達は何度かその泥ハネを浴びる・・・まぁ、しょーがないやねぇ〜(--;
30分以上待ってから、やっと前の方に旦那が来た。その時、列の後ろの方を見たら既に腰あたりまで海水が満ちていた。早くに並んでて良かったと思いつつ 並び方を変えた方が(海側じゃなくて)いいんじゃないかと心配になった。
私達はやっと出口を通過し、重たい貝を持って海水をペットボトルに詰め、車のある駐車場までまた歩いた。 それから車に乗り込む前に着替えて泥を落とし、駐車場を出たのはPM3時だった。

皆疲れていたし、帰りはアクアラインを走ろうかと ふっと思ったが休みは明日まであるしゆっくり帰ろうと言う事で帰りも下の路を選んだ。 が、それから4時間経ってもまだ千葉県内だった。夜7時をまわり、運転休憩も兼ねてファミレスに入る事にした。 4人とも言葉数は少なく非常に疲れていた。まだ千葉県内って事が疲れを倍増させる。 二女は何時に家に着くのか知りたがる、長女が都内に出るまでまだ時間がかかる事を面倒臭そうに応える。旦那は疲労困憊の面持ち。 私はサイフの中味を見てから、千葉を出たら首都高にのって帰ろうと相談したが、旦那は首都高も混んでるんじゃないかと心配顔だった。

軽い食事を済ませてレストランをPM8時に出る。相変らず渋滞は続いていて、千葉県を脱出したのはPM10時を過ぎていた。
車の中で皆で今日中に家に着くかどうか、掛けが始まった。都内に入っても下の路は渋滞が続いていて、次の交差点で首都高速入り口に差しかかった。 旦那は迷っている様子で交差点に近づいてもまだウィンカーは出していなかった。でも今日中に自宅に到着する方に掛けてた旦那は意を決した様に ギリギリでウィンカーを出して左折した。すると予想とは裏腹に、ガラガラとは言えないが下の路の様な渋滞程ではなかった。 少しでも動いてるだけマシだ。それでも首都高から外環に抜ける頃にはかなりの高速で走れる程空いてきて、それから自宅までは30分もかからなかった。 結局、PM11時に自宅に着いた。8時間もの運転で疲れた旦那はそのままベッドに倒れ込んだ。

翌日、海水を入れたクーラーボックスの貝たちは、たくさん潮を吹いていたが、こうして見ると、かなりの量である。 洗濯ものを一気に片づけてから貝を洗ったが、半端な量じゃなかった。とりあえず貝を大・中、小に分けて塩水と釘を入れた桶にそれぞれ入れた。 その日の夕食に早速、大の貝を「ワイン蒸し」で料理した。美味しかったけど結構な量だった。でも、中と小の貝はまだかなりの量が残っていて、 長女の友達におすそ分けしたがそれでも貝は山盛り残っていた。その次の日、「おみそ汁」にしてみたが、時々ジャリっていうのがとても気になる二女は 汁だけ食していた。そして正直言って私も含めて家族はその時既に「あさり貝」に飽きていた。
3日目、桶の中の山盛りになってる貝は異臭がしていた。昨日の内に身だけ取って冷凍しておけば良かったと後悔したが、 私も疲れていたし、これだけの量をチマチマと身を採る作業は面倒臭かったのだ。 結局、異臭のする貝たちは廃棄処分となったのだが、こんな事なら潮干狩り場で選別して、中と小の貝は置いてくるべきだったと反省した。 しかも2センチ以下の貝は採ってはいけないと、インターネットで調べた潮干狩りのページに書いてあったのに、つい欲を出した自分が情けない。

冷凍も含めて料理出来る責任の範囲内で採る事を肝に命じて、次回こそは!と家族に誓ったが、
「行くならお母さん一人で行って!」と言われた。(--;

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