初めての海外旅行
3泊4日の上海旅行記 /1996

旦那が赴任している上海へ子供達を連れての、初の海外旅行を計画しました。
初!なんです。しかもおまかせパックではなく、初の個人旅行!
・・・ちょっと不安。

まず、一番安いチケットを手に入れる為トラベル会社に、かたっぱしから電話をかけた。
すると、ほとんどがホテル代込み等のパックを薦められた。
航空チケットだけが欲しいのに・・・。
それに時期によって値段が変わるらしい・・知らなかった。
あと、国内では当たり前の「子供運賃」がない・・知らなかった。

そんな中、ハワイに行った事のある友達に電話して訊いてみた。
そしたら友達の住んでる団地内に出回ってる新聞があって、その広告に、 いくつか格安チケットのトラベル会社が掲載されてて、それらの電話番号を教えてもらった。

早速電話してみる。
1件目、ドスの利いたオジサンの声で応対は面倒くさそうだった・・パス。
2件目は、“買うの?買わないの?”とかなり急かした言い方されて・・パス。
最後、HISというトラベル会社の電話番号を廻した。
応対に出た声は、とても爽やかな女性だった。しかも私が「初めてでよくわかんないんですけど・・」と言うと、これまた親切にいろいろと教えてくれた。・・やたっ!ホームラン!

航空チケットは往復で6万1千円!3人で18万3千円!しかもユナイテッド航空!
その爽やかな応対の女性はビザに関しても詳しく親切にしてくれた。
私はそれから上機嫌で海外旅行の情報誌を買い、必要な物をチェックして、 「簡単中国語会話」なんてものを買って、スーツケースも買って、旅行グッズもそろえた。
不安が入り交じったドキドキ・・。

出発当日、お昼すぎに家を出る。3時には成田に到着。
スカイライナーを下車して改札出口で、警備員みたいな人に「パスポートを見せてください」と言われて ドギマギする私。・・既にここから緊張していた。
羽田空港なら勝手が分るが、成田では完全なるおのぼりさん状態。
しかも二人の子供を連れての個人旅行・・・
かなり不安・・。

ムチャ広い空港内、チケットのチェックインの場所さえ分からない・・ウロウロする。
やっとのおもいで、ユナイテッドのカウンターを探し出したが ロープが張ってあって入口がわからない。最初からこんな調子だと先が思いやられる・・。

緊張に緊張を重ねた面持ちでなんとかチェックインを済ませたが、今度は出国手続き。
これがまた、ひどい行列だった。
出国の書類はなんなく書けたが、問題は入国の書類・・・
全部中国語だ。・・・ぁぅ。

その後うろうろキョロキョロしながら待合室へ。
円形状の広いとこに出た。外人ばっかり。(当然だけど)
いろいろ周りを観察しながら待つ事50分、やっと機内への案内アナウンスが流れた。
そしたら機内に入ってびっくり、スチュワーデスが外人だった。(当たり前だけど)
機内での乗員紹介のビデオは親近感があって面白かった。
それから3時間30分程で上海虹橋空港に到着。時計を1時間遅らせた。(時差は一時間)

ゆっくりと飛行機の扉に向い、機内から一歩出た瞬間、ニオイが鼻についた。
どんなにおい?って聞かれても・・うーん、
漫画「あたしんち」のお母さんみたいに、フランス料理のフルコースを食べながら 「これは魚肉ソーセージの味よ!!」ってみたいにズバリの例えがでてこないけど・・ 薬っぽいにおい、かなぁ。
・・この時から少し頭痛がしてきた。

虹橋空港は小さいけど、そのわりに出迎えの人数が、 なんかイベントでもあったの?って感じで、出迎え扉にすごい人でごった返えしていた。

入国審査を受ける、
人民服を着た人にじーっと見つめられた・・
見つめる・・見つめる・・見つめる・・(ガンの飛ばしあいかぁ!うりゃ!)
その人民服を着た人はパスポートの長女の写真を指しながら、 「ほんとに君の子供か?」みたいなことを喋ってるみたいだった。
下の子はともかく、長女は歳のわりに身体が大きいし、恥ずかしながら私自身も、 その時の服装は歳相応の格好ではなかった。
私は咄嗟に“マイチルドレン”などと英語で口ばしってしまった。(アホ〜。。)
すごく緊張していたのだ。
しばらく何度もパスポートの写真と私達の顔を見ていた。(はよ せぇー!)
・・・ぁぁ頭痛がする。

なんとか入国審査を通過したら、迎えに来た旦那が人をかきわけているのが見えた。
中国人と日本人は同じアジア系だから見分けがつかないと、それまで思っていたけど、 こうして近くで(本場で?)見ると、すぐに判る事がわかった。
荷物を受取ってから空港出口に向うと、扉回りにいた中国人に、ジロジロ見られた。
それは失礼なほど強い視線で、つい、ガンとばしたくなった・・。

宿泊するホテルは空港に近くて、歩いて5分くらいだった。
そこは外人専用のホテルで支払いは全てドル。
ホテルはとてもきれいだったけど、でもやっぱり私はニオイが鼻について気になった。

部屋に入ると、なんかすごく暗かった。電気が天井に付いてないのだ。
照明はスタンド・タイプの大が1個と小さいのが3個あって、ドア付近にスポット・ライトが一つだけ。 しかも全部、暖色系のオレンジ色のライトなので、なおさらうす暗い。
白色灯がないってだけで、私の頭痛はひどくなった。

ゆっくりお風呂に浸かりたいと思ったけど、バスタブが外人専用の、あの長くて浅いやつで、 水道をひねったら最初、水が少し濁ってた。つい「大浴場どこ?」って言いそうになった。
日本人だなぁ〜・・。

2日目
普段、ひと眠りすると回復するはずの頭痛が、どういう訳か治ってなかった。
ホテルの朝食はバイキング形式で和・洋・中と揃ってて味も良くて安心した。が、
コーヒーだけは、ちがった。ブラックで飲むにはいいけど、私は砂糖なしのミルクたっぷり派で、 ミルクを入れようとしたら、その色が違うのに気がついた。
普通、ミルクは白色なのに、それはまるでファンデーションのオークル系色なのだ。
観光初日に腹をこわしちゃまずいなと思い、仕方なくブラックで飲んだ。
ひじょーに苦かった・・頭痛がする。

ホテルの前からタクシーに乗った。結構いいタクシーだった。というのも、
それまでそのタクシー乗り場で並んで見てたら、
「おいおいそれはもう廃車だろー!」って感じのタクシーが何台も来てたからだ。

乗車してからふと、運転手の脇をみると瓶が置いてあった。
その瓶の中には、お茶らしきものが入っていた。
それは飲水らしいが、その瓶は、水筒のかわりなのか、前は別なものが入っていたと見られる瓶で、 どのタクシーに乗っても、いろんな形をした瓶が見られるので楽しめた。

しかし!そういう余裕があったのは、ほんの3分程度。
いきなりタクシーは、ジェットコースーターと化した!
信じられない様なスピードで飛ばしまくる。そして平気で急ブレーキをかけやがる。
しかも路は広いのだが歩道がないので歩行者たちがそんな猛スピードの車が走ってる間を 歩いているのだ。それプラス、自転車もごちゃごちゃと走っている。これで事故らないわけがない!

自分の乗ってるタクシーが一番スピード出してると思いきや、 走ってるのが不思議みたいなポロい車が、すごいスピードで追い越していく。 赤信号でも右折はOKだし、追突したのか路の真ん中でケンカしてるし、 自転車も歩行者も我先にって感じだった。無秩序の交通状態だ。
私たちは車の中で「きゃーきゃー」叫んでしまった。超〜こわかった!

最初の目的地 「豫園」に到着。観光名所としてよく知られている所。
古い建物があって、その中に「湖心亭」という建物が湖の真ん中にある。
まぁ、実際は湖というより、きちゃない池だと思うが・・・。
その建物の中に入って行くと、2階でお茶が飲めるというので、 本場のウーロン茶をたのんだら、これが・・マズイ!!
つけあわせに、うずらの卵と(ゆでたやつ)佃煮みたいなものが出されたけど、 私も子供も、においをかいだだけだった。

喉の乾きを癒すつもりが、「お茶」が飲めなかった私と子供達は冷たい飲み物を欲しがった。
自動販売機がないのは知っていたけど、冷やして飲む習慣がないってのは初耳だった。
お店に入って ジュースを手に取ると全部常温。
熱いお茶はあるけど、冷たいお茶はない。
それでもなんとか探しまわったが、いくらかヒンヤリしてる程度で冷たくはなかった。
・・ますます頭痛がひどくなる。

途中、トイレに行きたくなったのでデパートみたいなとこに入った。
デパートの中は、また何とも言いようのないニオイが鼻についた。
いままでのにおいをマックスにした様なニオイ・・・
私は頭痛を我慢した。

トイレに入ろうとしたら、その入口手前に、おばさんが立っていた。
そのおばさんにトイレ使用料を支払うと、なんとペーパーを渡された。
ペーパーといっても、昔懐かしい「ちり紙」で、海苔みたいな形と感触の、あの「ちり紙」。
それを持っていくのってなんかちょっと恥かしかったけど、中に入ってびっくり!!

みんなドアを閉めないで用を足してるではないか!!(ウソだろおい!)
それに、用を足しながら友達と思われる人と会話している!!
用を足しながらだぞ!!・・・あたしゃ呆気にとられたね。
その上、水洗なのに、流しもしないで出てきやがる。
水洗は使用料が高いらしいけど、それでも少しずつしか流れなくて大変困った。
・・ひどい頭痛をまたも我慢する。

その日の昼食は、絶対お薦めと言って旦那の会社の方が予約を入れといてくれた中華料理屋へ行った。
お馴染みの 円テーブルと、背もたれの高い椅子で、予約席の部屋は個室になっていた。
広くて、しっとりと落ち着いた部屋だった。
メニューもぜんぶ予約してくれていたので助かった。
飲茶、しゅうまい、えびチャーハン、チンジャオロースー・・ずらりと料理が運ばれてきた。

しかし!見た目はとてもおいしそうだったが食べてみると全部、油ギトギト。
しゅうまいの中にスープみたいなのが入ってて、私にはそれがくさくて食べられなかった。
ただひとつ食べられたのは、から揚げみたいなものだけだった。
その店を出たとき、私はとうとう頭痛を我慢しきれなくなり、子供達と旦那には悪いと思ったけど 観光を中止してホテルに引き返すことにした。

帰りのタクシーは、“この車、走るんかい?”って思うぐらいひどかった。
ドアは、中からしか開かないし、シートは、ぼろぼろだし、そのくせ、ジェットコースター並みの スピードを出しやがる。

ホテルに着いて、すぐ薬をのんで寝た。
夕方6時頃起きたら痛みは治っていた。
ホテルで夕食をとってすぐ「上海雑技団」を見に行った。
と、その前に喉が乾いて仕方なかったので外人専用ストアーに寄って 「サントリーのウーロン茶」を買った。勿論、冷え冷えのやつ!!。。おいしかったぁ〜。。
“やっぱウーロン茶はサントリーにかぎる!!。。ぷはーっ”
・・本場中国でサントリーのウーロン茶を飲む私って・・。

さて 着いた会場は近代的で観客は何故か白人が目立った。
会場の外では土産物みたいなものが売られていた。
それらを売ってる女性はとても綺麗な顔立ちをしていてイスに腰掛けていた。
でもその女性、ミニスカートなのに思いっきり足をひろげて座っていた。
・・見てて、こっちが恥かしくなった。

雑技団の方は凄いの一言。まさにプロの集団。
体型も西洋人にひけをとらないし、顔もきれいな人ばっかだった。
中でも一番すごかったのは、ぐにゃーっと体がまっぷたつに折れてんじゃないかと思えるような踊り。 それを5〜6人ぐらいで入り組んでやってるとまるで蛇みたいで、メデューサの頭を連想する程圧巻だった。

3日目、旦那の会社を見に行った。
タクシーは相変らずだったけど、上海市内が遠くなるに連れて地平線が見えた。
40分程してタクシーから降りると、その広大な敷地に驚いた。
私達は社内を見てまわった、そしたら何人かの中国人社員が私たちを見に来た。
彼等の刺す様な視線には参ったけど、でもとっても上手な日本語で話しかけてきた。
聞けば、中国語と日本語と英語が堪能との事・・ひょぇ〜。

その後また上海市内に戻り、その日のお昼ご飯は「さくら」という日本料理屋にいった。
東京で食べるのと同じぐらい料金が高かったけど、それなりにすごくおいしかった。
それから おみやげ屋さんに行った。

中国のおみやげって喜ばれる様な物が全然無い。
あるのは、シミが消えるクリームとか痩せる石鹸とか、 いろいろウサンクサイものばっかで選ぶのに苦労した。
ただブランド品の洋服なんかは安くてずいぶん買っちゃった。
それと、店員さんの面倒くさそうな応対と愛想の無さにはびっくりした。

夕食は、これまた日本人専用の焼き肉屋に行った。
焼き肉は、タレが絶品でおいしかった。が!!
食後にデザートのアイスクリームがでてきて・・
このアイスクリーム、一見普通にみえたが、1口食べたら「どひゃ〜!!!」で、びっくり!
脳みそが腐って発酵するんじゃないかと思う程、むちゃ甘い!
すぐに吐き出してしまった。勿論子供達も同様で、下の娘なんかはアイス大好きっ子なので半泣きだった。
・・中国の甘味覚って、一体どーなっとんじゃ!!

その後、ジャズバンドの生演奏が聴ける「和平飯店」ヘ。
お酒を飲むとこなので、子連れは私たちだけだったけど、バンドの人たちが気を利かせてくれたのか、 ディズニーのメドレーを演奏してくれた。下の子が足でリズムをとっていた。

店を出て、上海の名所「外灘(ワイタン)」へ。
夜景がとてもきれいだった。
しかし すごい人。人。人。皆、涼を求めて川辺に集まってくる。
でも川風は涼しいけど、においが臭いったらありゃしない!

それと夜なのに、小さい子供連れが目立った。
中国は、一人っ子政策だからなのかわかんないけど、 子供への、かわいがり様は傍目にも異様に感じられた。子供が着てる服だけが 豪華絢爛で着飾りすぎて、なんていったらいいのか・・・やりすぎって感じ。
もうひとつ、びっくりしたのは、その着飾った子供が、まるで女優のように慣れた様子でポーズをとり、 親がいろんな角度からカメラで撮影していた事だ。 しかも子供は小さいながらにそのポーズを心得てると言うか、ちゃんと顎をひいて姿勢がいいのだ。

遅くにホテルに帰って、帰国の準備をした。
出国の書類を部屋のスタンドの下で書いた。が!!
次の日、太陽の下で、その書類を見直してみると、黒のペンで書いたと思っていたのに、 青いペンだった!。。暗すぎるぞぉー。。

空港でチェックインしてから、帰路は3時間で成田に到着した。
降りるとすごい人ごみで、気がつくと白人にサンドイッチ状態になってて、私達3人は サンドされたまま歩いた。持ち物検査のとこもすごい行列で、私たちがスカイライナーに乗れたのは、 それから2時間後のことだった。

上海の感想・・

中国語は北京語と上海語に分けられるそうで、「ありがとう」は北京語で「シェイシェイ」だけど、 上海語では「シャジャノン」という。 中国語会話本をもっていったけど、上海訛りの中国語は全然わからない。

観光地には、必ず物乞いがいて、しつこくて怖かった。 貧富の差がありすぎて、近代的な建物が並んでると思えば、少しいくと、今にもくずれそうな家がならんでる。 アジアでありながら、ヨーロッパ系の建物が残されてて、不思議な感覚に陥る。

街中では洗濯物を干す場所がないのか、家の軒先と路沿いの木々に、ひもをかけて、 そこに干しているので、路を歩く人は、パンツやら、ぼろぼろの下着の下を歩くことになる。
羞恥心がないといえば、自転車に乗ってる女の人は、長いスカートが邪魔になるのか、 スカートの裾を左右に持ち上げハンドルにひっかけて乗っている・・・もちろん、パンツ丸見えである。 中国人女性に羞恥心はない模様。

中国のトイレ事情は記述したように公共トイレは有料。(水洗は少し高い) 一般家庭にトイレは、ほとんどないそうで・・、じゃ、どうしているのか? 水瓶のようなやつに蓋がついてるものを利用しているそうな。 それがいっぱいになると捨てに行って、またきれいに洗って使う・・。 (やっぱり、トイレにドアは必要ないって事になるのかなぁ。。)

電気に関しては、ほとんど必要最低限しかつけないというか、取り付けられていない! 夜、 ホテルに帰る道中に何度か道路工事をみかけたけど、 車のライトでそれが初めて判る状態で、夜の工事なのにライトが全然点いてないのだった。 (真っ暗な中、工事・・・出来るんかい?)

それから食事に関しては、冷たいものは絶対口にしない。 どんなに暑くても、熱いお茶を飲む。
お昼時に街中を歩いてると、道端で弁当をたべている人達がたくさん目についた。 デパート関係と思われる人達がごみごみした道端で平気で食べていた。
旦那の会社でもそうだけど、弁当を温めるボックスが設置されてて、 温かいものしか食べない習慣があるそうで、決して冷たい物、冷めた物はとらないらしい。 しかし、旦那いわく「ビールを常温で出されたときは、さすがに頭にきた」と。 うんうん。。コーラを買った時に子供たちも「のめないよー !!何これー!!」と文句言ってたけど、 想像してみて、ビールとコーラの常温・・。

全体的な印象としては、とにかくみんな声がでかい。 それに中国語の発音って、ケンカしてるように聞こえて仕方がない。 迫力があるって言うか・・・生きていくのに必死って感じで、とてもエネルギッシュでした。

今回初めて海外を見てきたけど、日本に帰ってきて、なんと平和な国だろうと感じた。 毎日お風呂に入れる幸せ、スイッチひとつで明るい電気、そのまま飲める水道水、 どれもこれも当たり前だと思ってた事が、すごく恵まれていたんだと考えさせられた。
・・贅沢な国、日本。まぁ、子供達にも良い経験になったと思う。



*この旅行は1996年10月に行きました。その後、姉が「どうだったのか、いろいろ聞かせてよ」と言ってきたので、思い出しては少しずつ書いていき、1997年5月に完成。姉は何故か「おもしろい!」と感想を述べてましたが・・。そして、これを編集してKayo's Pageにアップしたのは1998年8月のことでした。

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