meet roger
at the backstage after the concert


ライブが終わると、私はすぐにバッグ・ステージの入口に向った。
すると、同じバックステージ・パスを胸に貼った人達が私の他に6.7人程並んだ。
皆、当たったんだ〜と、思いつつ並んでいるとスタッフの人に「当選のメールを持ってる人は?」と聞かれた。
私は持ってきた当選メールを見せた。そしたらスタッフに手招きされて一番前(最初)に通された。
えっ、なんで?皆は?と、思いつつも案内されるままに前に出た。
するとその時、他の人達の無言の(鋭い)視線を身体にバシッバシッ感じた・・・“ひぇ〜ごめんなさ〜い”

暗い通路を通って私はスタッフに付いて行き、一室に案内された。
そこでスタッフに「もうすぐロジャーが来るから、ここで待っててね、それとサインして欲しい物とか並べて置いてね」と言われた。


思い返せば・・・
ネットで「I want to meet Roger」というヴァージン・レディオのHPの企画に、もしかしたら・・で応募した事から今回、Rogerと会える幸運に恵まれた。
そのメールをもらって数日は、ワクワクドキドキしていたけれど、
だんだん、“これで、ライブがドタキャンだったりしたら・・”等と悪い方悪い方に考えはじめて、あんまり期待するのは止めとこうと思った。
でも掲示板で、皆が頑張って英文のメッセを書いてきてくれてるのを見てて、最悪の場合でも、なんとかこれだけは持ってってもらいたい!と願った。
でも「してもらう事」ばっかりだと、ロジャーに悪いなぁ〜とか思えてきて、
“そうだ、一緒に、お土産を渡したらいいかもしんない”と考え、下の娘と早速買いに行った。

しかし、相手は超リッチだし日本的な物だって、たぁ〜くさん持ってるだろうし、“どうしよう、何にしようかなぁ〜”といろいろと散々考えた結果、私の予算的問題もあって「ちりめん生地の、ふろしき」に決めた。
それと、バック・バンドのメンバーの人達にも同じ生地で出来たポケットティッシュ入りの「小物入れ」を買った。デザインもかなり日本的なもの。
しかし実を言うと、それらは下の娘が、“ねぇ これがすごく綺麗で、すっごく安いよ”と探してくれた物でワゴンセールの物だったのです。(--;すみません。

って事で、「ふろしき」を一つと「小物入れ」をヴァージン・レディオの方の分も含めて9個買った。
しめて3200円!!(さすが、ワゴンセール!)でも“要は心だ” と言い聞かせてスーツ・ケースにしまった。
それから、FairyがK-13の時に創った替え歌を「cheap‘B'movie」の画像で再制作し、
kayoのページでの掲示板アンケート(ロジャーの)結果を「Meeow,Meeow」の画像で、
そして皆のメッセージを「Roller Coaster」の画像を使って綺麗にレイアウトし直し、それぞれをプリントアウトした。


さて、案内された楽屋だけど、どのくらいの広さだったかなぁ。細長い六畳くらいかなぁ。
殺風景な感じで壁側には横長いテーブルに横長い鏡があって、部屋の奥にある小さい丸いテーブルの上には、まるで絵みたいな果物と飲み物がセッティングされてあった。
私は横長いテーブルの上にスタッフに言われた通り、サインしてもらいたい物を並べてプリントアウトしておいたものを置いた。そして「お土産」も置いた。
待つ事、5分くらい・・・ドアがコンコンとなった。
そしてスタッフがドアを開けたと同時に、少し屈む様なスタイルでロジャーが入って来た!!
その瞬間、私は息を飲み込んだまま、呼吸するのを忘れた

そんな硬直状態の私を察したのか、すかさずロジャーは笑顔で、ふっくらした手を差し出して握手をしてくれた。
そしてテーブルの方をサッと見て「どれにサインすればいいの?」と聞いてきた。
私は最初に日本盤『Fun In Space』のライナー・ノーツ(裏面)を差し出し、やっと口から出てきた言葉が、「Please」だった。(--
ロジャーはそのライナー・ノーツをひっくり返して表側をジッと見た。
(当然その内容は日本語なので読めないだろうけど、そこに使われてた自分の写真を見てたと思う)
ロジャーはまたライナー・ノーツを裏側にして、いざサインしようとした手を止め、振り向いてこう言った。
「君の名前は?」
ぁっ・・ぁぁ〜わたしゃ自己紹介もしとらんやないかい・・(--;;
自分のアホさに落ち込みながら慌てて本名を言うと、ロジャーはササッ〜と書き始めた。

その様子をカメラに納めようとして、一枚シャッターを押したのだけど、私はすぐにカメラを下ろした。
レンズ越しにロジャーを見ていたくない!と強く感じたからだ。

・・・今までずっと雑誌や写真でしか彼を見た事なくて、Queenのライブでもいつも後ろ〜の席だったし、
そんなレンズ越しの彼をたっくさん見てきた自分にとって、今のこの状態において、ロジャーと自分との間には何も挟みたくなかったのだ・・・。

私のすぐ側でサインしているロジャーの横顔をジッと見つめた。
彼の横顔が私の顔から30センチくらいのとこにある。
手を伸ばせば彼のその顔に触れる事が出来る。
髪型は77年の頃と同じなのに、私の目には銀色っぽく写った。
顔は、お酒が入っているのかサーモンピンク色で、お髭は白っぽかった。
そして、かなり身体が大きく感じた。こんなに大きい人だったんだぁ〜と思いながら、
会えた喜びと緊張も混じってはいたけど、ふっと妙な感覚になった。

・・・いま私の隣りにいるのは本当にあのロジャー・テイラーなのかな?と思う自分がいて、
今、目の前にいるロジャーを「これがロジャー・テイラーなんだ!」と必死に自分に言い聞かせる自分もいた。
1974年から彼(彼等)を見てきた自分にとって、それまで雲の上の人だった彼が今、自分のすぐ目の前にいると言う状態が、どうしても信じられない。
私がQueenの音楽を楽しんでいる時って、レコード・ジャケットのタイムマシンに乗って、すぐにその時代の彼(彼等)をそれぞれに楽しむ事が出来るわけで・・・。
でも実際、目の当りにすると今現在のロジャーがロジャーなのであって・・・。
なんか上手く表現できないけど、そのタイムマシンの距離は、すごく遠かったって事であり・・・
つまり、とても長い歳月が流れていた事を強く実感していた。



その後、プリントアウトした物を一つずつ紹介して見せた。
Fairyが作った替え歌ページを見てロジャーは笑っていた。
「cheap‘B' movie」の画像の中にロジャーを合成させている事にも面白そうに笑っていた。
ロジャーの掲示板アンケート結果ページは「これは興味深い」と言って一つ一つ指でなぞりながらフムフムと言った感じで見ていた。
(『ロジャーと二人きり、さて、あなたは?』の結果には鼻で笑っていたけど)
そして、皆からのメッセージ・プリントを見せた。そのプリントだけは全部で5.6枚あった為、
ロジャーはその場でパラパラッと捲り、関係者を呼び寄せて(何やら指図しながら)渡した。
私はそれと同時に、ロジャーへのお土産を差し出した。
するとロジャーは、びっくりした様な表情をした後、嬉しそうに微笑んでくれた。(ぁっ・・そんな高価なものじゃ全然ないですぅ〜・・)

そしてすぐに、バック・バンドの方へのお土産を差し出して、「これは他のメンバーの方へ」と言ったのに
っと言うか、私の英語が悪いからだと思うけど、ロジャーは「OK 、OK、ジョンとブライアンだネ!」と言って、またもや関係者の人にそれを渡した。
ぁぁ、ち、ちが〜〜う!って思いつつも、バックバンドのそれぞれのメンバーの名前を誰一人として私は覚えていなかったし、
ロジャーの「ジョンとブライアンだね?」と言った時の覗き込む様な表情を目の当りにして、思わず「うん」って頷いてしまった。
(太っていてもクリクリお目々は、めちゃくちゃ可愛いいし、何より、あんな風に顔を近づけられて聞かれたら、ちがいます!なんて言えやしないし、返事する前に息止まってしまうって!)

しかし、あのワゴンセールで買ったちりめん生地、小物入れはジョンとブライアンに渡ってしまうのか?
ふろしきの方が2百円程高いのに・・。でも予定外だけど、それも嬉しい。
「他のメンバー」って言った言葉をバックバンドのメンバーでなく、ロジャーが「ジョンとブライアンだネ」って微笑んで受取った事に対して、ちょっと意外でもあり、なんかとても嬉しかった。

そうこうしてる内に、ロジャーがまたもや聞いてきた。
「他にサインするものは?・・」と。
えっ?・・・正直言って、そんなにサインしてもらえるとは思ってなかったので、他に用意してきてなかった。
でも「もういいです、ありません」なんて言ったら失礼にあたると思い、ちょっと焦りながら、差し上げるつもりで持っていってた「K&Kバック・ナンバー」のプリントページを慌てて差し出した。
「K&K QFC」の12月号(ロジャーが表紙のヤツ)を見て、“お〜素敵だネ”と言って微笑んでたけど、皆のメッセージプリントだけを渡して、Fairyと私のプリントを渡しそびれてしまった。

最後に「記念写真を・・」と言って、関係者の人が私のカメラでスタンバイしてくれた。

ロジャーは、私の肩に手を回して、私の身長に合わせて屈んでくれた。
ロジャーの顔が私のすぐ横にきた時、そのサーモンピンク色の頬は正直言って、張りがないって言うか、プヨヨンって感じでした。
そんなロジャーの頬をジッと見てたら思わずチュッってしたくなっちゃって・・xxx。
ロジャーは「おぉ〜っっ! 」と言いながら笑い、すかさず、お返しのキスをしてくれた。
それは、頬と同じ、柔らかい唇の感触で、吐息は酒臭かった。

別れ際に「I Love You !」と言って部屋を出て行こうとしたら、
ロジャーが投げキッスをしてくれたので、私もお返しの投げキッスをしたら、すごく嬉しそうに微笑んでてサングラスの奥の瞳と見つめ合えた。
その時、私がずっと抱いてたあのロジャー・テイラーを見る事が出来た。
上手く言えないけど・・・なんかこの時に、「ぁぁ、やっとロジャーに会えたんだ」って実感した。




楽屋を出ると、ヴァージン・レディオの人がお辞儀しながら「アリガトゴザイマス」と日本語で言ってきた。
私も「どうもありがとうございました」と言って、彼にお土産を渡した。
そしたら最初ちょっとびっくりした様子で「ぇっ僕に?」というアクションをした。私が笑顔で頷くと彼はまた丁寧にお辞儀をした。

その後ライブ会場に戻ると、ステージ・セットは既に解体されて掃除が始まっていた。
グッズを売ってた店も、当然もう無かった。
「 Tシャツとパンフが買いたかったのにぃ〜」と残念に思ったけど、諦めるのは容易だった。
ロジャーに会えた事で胸が一杯だったし、出口までスタッフの人が付いてきてくれた。

外に出たら真っ暗で、幸せの余韻を感じながらホテルに戻った。
その日は夜中過ぎまで、中々眠れなかった。



亡姉がもたらしてくれた(と思っている)この幸運を、 たくさんのファンの方々と共感出来たら幸いと思い、突然企画した【ロジャーへのメッセージ】ですが、 掲示板に投稿して頂いた皆様、本当にどうもありがとうございました。
そして、英文ページの指導と陰で多大な協力をしてくれたFairyに心から感謝します。by Sweet


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1999年4月記載
2001年7月改訂