みんな知っているかい?
僕らが生きるこの宇宙はとてつもなく広いってことを。
グランドキャニオン、サハラ砂漠、太平洋・・・
地球上の何物だって宇宙の大きさには敵わないんだよ。

僕は昔、毎日のように宇宙を眺めていた。
あの遠くで輝く光は一体何処から来るのだろう。
あの真っ暗な先にはどんな世界が広がっているのだろうって。
毎日のように考えていたんだ。

そうしているうちに、僕の住むロンドンで起こる出来事なんて、
とても小さな世界の出来事で、
まして僕の周りで起きる出来事なんて、
本当に取るに足りないことなんじゃないだろうかって思えたんだ。

でもね、宇宙の大きさを知れば知るほど、
地球の出来事、ロンドンの一日、朝目覚める瞬間、
小さなものがとても重要に思えてきたんだ。
何故って、どんなに宇宙が大きかろうと、
僕が過ごす空間はこの地球、そしてステージの上。
この小さな地球に暮らす人々の心が一つになれないのに、
宇宙の大きさを考えるのは、僕にとってはずーっと先の話のように思えたんだ。

だからロックなんだ。それもハードロックなんだ。
みんなはよく知っているよね。あのハードロックに揺さぶられる瞬間を。
熱く、熱く、熱く身体が心が動かされる瞬間を。
バラードでは味わえない瞬間的なエネルギーさ。

幸運にも僕は一本のギターに出会うことが出来た。
広大な宇宙の何処を探したって見つけることが出来ない、ただ一本のギターさ。
父親と作ったその一本のギターは、小さな一室で誕生したんだ。
でもそんな小さな小さな世界で生れたギターも、
3千人、いや7万人の人を一度に揺さぶることが出来るんだ。
これってスゴイことだと思わないかい?
何をするにもグズグズしていた僕にとっては、
すごい自信の持てること。それがこのギターであり、
僕らが奏でるハードロックなんだ!

最後に僕は今でもペンギンになりたいと思う瞬間がある。
宇宙の何処かで星が爆発しようとも、地球の何処かで砲弾が爆発しようとも、
彼等は目の前に広がる海に飛び込むだけ。
泳ぎたい時に泳ぐだけ。
心思うままに、気持ち良く、目の前に広がる世界に飛び込むのさ。
それは、自由な世界、平和な世界。
僕らの知らないもう一つの世界。

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