K&K QUEEN FAN CLUB


The Fairy Feller's Master-Stroke


今から4年前にロンドンのテート・ギャラリーで、『The Fairy Felleller's Master-Stroke』の絵画のポストカードを買いました。 それを額に入れて玄関先の壁に飾っているのですが、この絵画を知ってる方ならご存知のように、一見して暗い印象を与えます。 それに妖精たちが草陰の向こう側に描かれているのでとても見え難い。原画も小さいサイズですが、 私が飾っているのはポストカードサイズなので尚更です。だからという訳ではないでしょうけど、玄関先に飾ってからのこの4年間、 訪問客がこの絵に気が付く(or なんか言ってくれた)ことは一度もない。・・・ちょっとさみしい。


セカンド・アルバムを聴きながら、とても退屈していた休日の昼下がり。
この曲に合わせて歌われている妖精を指でさしながら歌ったら面白いかなと思い、ポストカードを額から取り出しました。
(jpg画像,99.4kb)


フェアリーたちを探してみよう!
何事も下調べからスタートということで、リチャード・ダッド氏のこの絵画についての 海外のクイーンサイトの説明を調べて見ましたが、調べれば調べるほど、それまで勘違いしていたことに気が付くと同時に、 余計にわからなくなった妖精も出てきてしまいました。とりあえず、妖精関連の資料も調べながら、フレディが歌っている妖精を探してみました。

♪The fairy folk have gathered round the new moon's shine
現実的に考えると、“新月”は見ることができません。よって、当然Shineというのはありえません。 しかし!この絵をよ〜く見ると光と影がちゃんと描かれているので、左上の方角から月明かりが射しているのがハッキリ感じとれます。 この絵の中はとても明るいです。(だから新月でなくてもイイじゃん!な〜んて言うのはやめましょう)

FELLER ♪Fairy feller
これはすぐに見つけられた。しかし妖精というにはあまりにも人間っぽい後姿。脚の肉付きからして筋肉質タイプのように感じとれるし、 後姿から想像するに、フェラーの表情は目を大きく見開いた強面のような気がします。余計な事ですが、フェラーの位置から 割ろうとしている胡桃の位置までちょっと遠い気がする。
PLOUGHMAN ♪Ploughman wagoner will and types
「ワゴナー・ウィル」って何かの登場人物名なのでしょうか? よくわかりませんが、「wagoner」を御者(馬車に乗って馬を操る人)と 解釈すると、「農夫=御者やその類」という意味でフレディが歌っているのかなと思ったのですが・・・定かではありません。 それで、フェラーの右側にいる修道士の隣に、麦わら帽子を被ったヒゲもじゃのそれらしき農夫が描かれていたので、 多分この妖精のことではないかなと想像しています。
POLITICIAN1 ♪Politician with senatorial pipe
政治家=上院議員という意味?“He's a dilly dally”と歌っているところからフェラーが揚げている斧の向こう側に黄色い帽子を被り 黄緑色のジャケットをきてグズってる様子の妖精を見つけましたが、政治家というイメージではこの二人の妖精がそれらしく感じます。
PEDAGOGUE ♪Pedagogue squinting wears a frown
これはその表情から、頭が新月の輝きでピカピカ光ってて、胡桃の前にちょこんと座ってる白ヒゲの妖精ではないかと思います。 しかしホントにこのしかめっ面といい、その風貌といい、学者ぶってる感じが充分伺えます。 でもグーのお手々してこんな座り方してるのを見てると“可愛いじっちゃんだなぁ”とも感じます。
SATYR2 ♪satyr peers under lady's gown
satyr=サテュロスは酒神バッカスに従う酒と女が大好きな半人半獣の森の神(ギリシャ神話)ですが、下膨れ顔のこの妖精ではないかと思います。 女性のガウンの下を凝視しているこの表情はフレディが歌う"He's a dirty fellow"に強く頷けます。
♪Tatterdemalion and the junketer
「ボロを纏った男と大酒飲み?」説明では絵の上の左側らしいのですが、まったくわかりません。 想像では、絵の下の左で殻を割った胡桃を抱いてる赤い帽子を被った妖精がTatterdemalionなのかなと・・・。 でも、junketerはその隣にいる妖精には見えません。フレディはどの妖精を歌っているのでしょうか? 絵の中に見つけた方はご一報くださいませ。
THIEF2 ♪There's a thief
絵の一番上右側にいますね。何やら盗ろうとしている様子。よく見ると、彼は左手で鍋蓋のような物をもって身を隠しています。
DRAGONFLY ♪and a dragonfly trumpeter
トンボのトランペッターはこの絵を最初に見た時にすぐ見つけました。でもトンボの左側にいる ホルンみたいな楽器を持っている妖精が気になります。それとトンボの右下に顔だけ覗かせている妖精も・・。
DANDY ♪Fairy dandy tickling the fancy Of his lady friend
しゃれ男って言うと、黒い山高帽と緑のジャケットを着たこの妖精でしょうか。 ご婦人のご機嫌とりをしているような表情からしつこさが伝わってきます。
NYMPH2 ♪The nymph in yellow (can we see the master stroke)
Nymph=ニンフは大きな植物や自然環境に宿る美しい乙女と書いてありましたが、 美しい乙女は絵の中に2人見つけました・・でも定かではない。
SOLDIER SAILOR TINKER TAILOR PLOUGHBOY
♪soldier, sailor, tinker, tailor, ploughboy
この5人は服装が特徴的だから見つけやすい。Soldier(軍人)は左足は盾の付いたブーツ?を履いているけど右足はショートブーツだ。 それとこの軍人さん、結構ハンサムな感じがします。Sailor(船員)は最初軍人の奥さんか恋人かと思ってしまった。 Tinker(鋳掛け屋"いかけや")は鍋や釜の修理をする職業で、落語の中ではよく耳にしますね。 Ploughboy(田舎者)はどこを見ているのかな。彼の視線の先は軍人?トンボのトランペッターかな?
MAGICIAN1 ♪the arch magician presides
この“アーチ”というのが最初わかりませんでしたが、奇術師の帽子のつばの形から形容しているのだと気が付きました。 しかしランプのようなライトに顔が照らされているこの奇術師はその名の通りとても奇妙です。 奇術師の白ヒゲとその左右にある白い布の区別がつきませんし、これが奇術師の帽子だなんて・・・。
OBETITAHARRI ♪Oberon and Titania watched by a harridan
奇術師の帽子の上にいます。シェークスピアの<真夏の夜の夢>にも登場する妖精の王オベロンとその女王タイタニア。 その隣が意地悪婆さん?赤いコートと三角帽子が意地悪そうに感じなくもないけど。
MAB
♪Mab is the queen and there's a good apothecary man
多分、奇術師の帽子のつばに沿って右にいるのがそうだと思いますが、小さくて確認できない上に定かではありません。 因みにマブ王女は眠っている人の上に乗って悪夢を見させる夢魔と同種とされ、マブの仕業によって人は夢を見るとされる。
OSTLER ♪The ostler stares with hands on his knees
膝の上に手を置いてる馬丁は妖精フェラーのすぐ隣にいますね。馬丁のこの表情から、“Come on mister feller , Crack it open if you please” と言ってそうなのが容易に想像できます。余談ですが、馬丁の腕は血色がありませんね。

ということで、楽しむ為の暇つぶしが、ちょっと必死になってしまいました。 そして自分が、草陰からこっそり妖精たちを盗み見している巨人(人間)のような感じで、 一瞬この絵の中に入り込んだみたいな気がしました。
さて、フレディの歌に合わせてもう一度妖精たちを探してみようっと♪


updated : March 2003