ローラー・コースターのスタート地点は、1971年7月。乗っているのは4人。
しかしエンジンがかかったのは、1973年7月。エンジンがかかるまで、2年もかかるコースターは珍しい。
しかしそれは、このコースターが不整備だったからではない。
ただ単に天気に恵まれなかっただけである。
晴天のある日、コースターは、ゆっくりと昇り出す。ガタンガタン。。ドキドキワクワク☆
1974年から「Queen
II」「Sheer Heart Attack」「 A Night At The Opera」 の
3枚を発表。
ものすごいスピードだ!勢いを止めちゃいけないとばかりにぐんぐんと加速するコースターの側面は、
太陽の日射しを受けて、キラキラと光を反射している。
乗ってる4人は、皆同じ方向を見つめている。その瞳は好奇心と自信に満ち溢れていた。
勢いに乗ったままコースターは上へ上へと進む。ゴォォオオオオオー!!
70年代後半に「A Day
At The Races」「News Of The World」「Jazz」を発表。
起伏は緩やかだけど、とても楽しい時間を過ごす。何もかも順調で、周りの景色も素晴らしい。
気が付くと、山が、それに街が見えない・・・見えるのは前方の空だけ。
“高い所は何て気持ちがいいんだろう”
さぁ、いよいよ、このコースター自慢の世界一の高さと言われる地点へ。グォオオン!!
1980年「The
Game」を発表。レールの先には何もない。頂点だ!
でもこの爽快感・・・一体いつまで味わえるのだろう。頂点に登ったその瞬間、喜びとともに不安も感じた。
なぜなら4人の目の前に広がる景色が、いつのまにか空から地上へと変わっていたのである。
4人が見ていたのは大勢の人が手を振っている姿だけだった。
コースターは方向転回。どうやら急降下してゆく模様だ。ヒュルウゥゥ。。
1982年「Hot
Space」を発表。今まで見たことのない景色が4人の前を通過する。
水しぶきが飛んでくる、トンネルもある。どうやら低いところを走っているようだ。でも面白くない訳じゃない。スピードは持続している。
そして「The
Works」を発表。まだまだスピードはあるが、何かが違う。4人はそれぞれ違う方向を見ていたのだ。
山あり、谷ありの、ゆっくりしたコースを走るコースター。ゴゴ〜ンゴーン!
80年代後半「A Kind
Of Magic」「The Miracle」を発表。
あまり話題にならないコースだが、コースターは走る、走る・・・。
気付いた時には、再びかつて達した頂点にも近い高さまで昇っていた。
どうやら4人の視線も一方向に定まってきたようだ。
また、そのままスピードが落ちて行く様に感じられたが・・・違った。グゥゥウウウ〜ン!!
1991年「Innuendo」を発表。どうやら4人は気持ちも一緒になってきたようだ。
高さやスピードとは無関係の心地良さ。“ここが僕らの居場所だ!”
どこを走っていようが、このコースターに乗れることそれ自体が楽しいと感じている。この座り心地を愛している。
いつのまにか4人は、すっかり歳をとっていたが、それ以外は何も変わっていない。
4人は、スタート地点の時からずっと、ローラー・コースターを愛している。
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