第九章
ミック・ロック
初めてミック・ロックという名前を耳にした時、
まんまロックアーティストだと思った。
1974年にクイーンのセカンドアルバムと出会った自分としては、その時点で彼の作品を目にしていたものの、
そのジャケットに小さく記載されている関係者名など覚えることもなく、
彼が写真家だと知ったのは、(恥ずかしながら)90年代に入ってからだった。
そして、ミック・ロックがどんな人物かということを、東京都写真美術館で開催されている
(開催期間7.18 〜 8.28)ミック・ロック写真展を見に行って初めて知り得た。
本名、マイケル・デヴィット・ロック。(←本名もカッコイイじゃないか!)
入場してすぐのところにあった彼自身の写真とコメントを読んだ。
記憶に残った言葉は、「僕はただ待っていた、その瞬間が彼らから放出されてくるのを」ということが書かれてあったと思う。
そのシド・バレットの写真を見て、薄っすら鳥肌が立ってきた。写真にはまったく疎いけれど、ストレートにそれを感じ取った気がした。
ミック・ロックはその瞬間を鋭く察知できる優れた写真家なのだと感じた。
身体そのものが芸術的で全身から威圧感を放出してるようなイギー・ポップの写真、
ライヴでのミック・ロンソン&デヴィット・ボウイの絡みの写真に釘付けになった。そして一番印象に残ったのは、
窓辺に置かれた鏡に写るボウイの写真。とても美しく絵画的でもあり、
見る側に強いイマジンを感じさせると言うか、物語が一本出来てしまいそうな雰囲気を持つ写真だと思った。
ちなみに70年代初頭、グラムロックがロンドンでブームとなり、その影響を受けて登場してきた日本のバンドは?と言えば、
私はサディスティック・ミカ・バンドを真っ先に挙げる。その奇抜な衣装といい、ミカのヴォーカルはめちゃくちゃカッコよかった。
なので、無いとはわかっていても、会場でミカ・バンドの写真をチラッと期待してしまった・・・。