K&K QUEEN FAN CLUB

本格派ロックファン VS.クイーンファン'76

英国では、『オペラ座の夜』が初めてチャート1位を記録した。
しかし日本では、こんな主張が展開されていた。
本格派ロックファンたるもの クイーンなんぞ 聴くべからず
これに敢然と立ち向ったのが、クイーンファン '76 である。

ここに、その当時の事が書かれた日記がある。
中学3年生のKが親友との交換ノートに書いていたものだ。
ちょっと捲ってみよう。

― 昭和51年7月22日(木曜日)
― クイーンの来日特集号、私も早く買いたいなぁ
― マイベストフレンド、39、グッドカンパニーもいい!とにかくクイーンの歌はイイ!
― もうすぐロジャーは27歳よ。ジョンは25歳、若いね。フレディは30歳!うわぁ~!

中学3年生にしては、書いてる内容が実に幼い・・(ほっとけ!)
中学3年生には、“30歳”は、とてもおじさんに感じたようだ。
だが、しかし、この時クイーンは、日本デビューしてまだ2年目である。

そんな新人バンドに石を投げつけるかの如く!
唾を吐きかけるかの如く、登場してきたのが、本格派ロックファンだった。

クイーンなんて、女・子どもが聞くバンドだ!

― 昭和51年8月1日(日曜日)
― クイーンはアイドルバンドだってバカにされてる
― いつになったらスーパースターだと認めてもらえるのかな
― あと3~4年くらいかかるかもしれない
― 早くクイーンがスーパースターになるようにもっと応援しよう!

実に健気だ・・
しかも、続けてこう書いてあった。

― ビートルズも最初はアイドルバンドと言われていたからクイーンもその内きっとスーパースターになれるよ

やっぱり健気だ・・
しかしそんな女子中学生に本格派ロックファンは追い打ちをかけてくる。

クイーンは所詮、ミーハーバンド!

ツェッペリンこそがロックと言うものだ!

クイーンなんて、ツェッペリン聴いたらバカバカしくて聴く気になれない

ならば、クイーンを聴かなきゃいいだけの話しである。

本格派ロックファンは、ただのアンチクイーンだと判明。
おそらく、デビューして2年そこそこのバンドが黄色い歓声に囲まれているのも口惜しかったのだろう。
そんな本格派ロックファンたちは、家に帰れば、きっと・・・

ちくしょー!『オペラ座の夜』最高じゃねぇーか!ちくしょー!

・・とか言いながら、クイーンのレコードを聴いていたに違いない。

こうして怒涛の1976年は過ぎていった。

そして1977年の1月、『華麗なるレース』が日本で発売された。

― 昭和52年1月14日(金曜日)
― 今度のジャケット凄くいい~!見惚れた~
― 今回のポスターもカッコイイよね~
― あ、ライナーノーツは絶対読むべし!!

この時のライナーノーツには、アルバムの内容はほとんど書かれていない。
書かれてあったのは、全国のクイーンファン'76への励ましのエールだった。
そして、大貫憲章氏は、最後にこう結んでいる。

クイーンは自分たちを信じ、自分たちの道を進む。だから、きみはきみを信じ、きみ自身の道を進みなさい。手をとりあって。


・・・涙。

これを読んだ全国のクイーンファン'76 は「手をとりあって」を聴きながら、涙ぐんでいたであろう。

“Let us never lose the lessons we have learned"