勿論、普段からキレイに整理整頓していれば迷う事なんてないんだろうけど、
なにせ、家は狭くて来客用の和室なんてないし、台所を通って茶の間にお通しする事になるので、
来客前日の掃除、整理整頓は大変なわけで・・。
それでも「毎日掃除してりゃ〜、ちょっとで済む事だろう」と言われりゃ〜あーた、それまでだけどさ。
って事で結局、家庭訪問の当日はいつもと同じ程度の軽い掃除で済ませておいた。 そして先生が来るまで茶の間に置いてあるパソコンに向かい、コーヒーでも飲みながら 実にお気楽気分でいたのだった。 ピンポーン♪
先生「どうも!こんにちは〜」
しかし、どうぞと言ったものの、台所のテーブルの上には新聞や雑誌、コップとかが散乱していたし、
茶の間に置いてあるパソコン画面には、さっきまで見てたページがそのままだったので私は慌てた。
先生はゆっくり茶の間に入ってきた。そして入るなりこう言った。
こんな事思うのは自分だけかも知れないが・・・他人にいきなり自分のパソコン画面を覗かれるのって、私はすご〜く嫌なのである。PCの壁紙やアイコンを全て自分の個人的な趣味で飾っているんだけど、 それらをあからさまに他人にいきなり見られるのが嫌なのだ。 私はまた慌てた。「えっ?・・あっぁぁ、そうですそうです!先生、ご存知なんですかぁ?」と言いながら私は素早く麦茶を入れてテーブルに御出しした。先生はそれに気が付いて、パソコンのとこからやっと
茶の間のテーブルに落ち着いてくれた。
先生が座った真正面には、クイーンのポスターが貼ってある。その横にはロジャーから貰ったサインが額縁に入れて飾ってある。・・っとここまでは見られても構わなかったが・・・そのすぐ下にはCDラックがあって、 CDは結構な枚数であり、ちゃんとラックに納まってはいないのだった。至る所で山積みになってるし、 おまけに歌詞カードまで山積みになってたりする。またその横にはテレビがあり、そのテレビ台のガラス面には、 クイーンの2種類の大きなロゴ・シールが貼ってある。(自分だけはそれがカッコイイと思ってるわけだが) 極めつけにその横のオーディオ・ラックの一番下の棚にはクイーンのLPやビデオが所狭しとゴチャゴチャの状態だった。 。。見られるんだったらCDもビデオも全部ちゃんと整理整頓しといたのにぃ〜!。。 しかし、先生の次なる意外な発言はかなり嬉しかったし、ちょっと救われた。
今年、子カバの中学に新任で入ってきたこの先生。
クイーンのファンだと言うのを聞いて、思い切って私は先生に本当の歳を訊いてみた。
先生は苦笑いの表情で「いゃぁ〜クラスではいつも二十歳って言ってるんですけどねぇ」と、
私の隣りに座ってる子カバを気にしていたが、私も子カバもその時の表情は「んなこたぁーどうでもいいよ!」
と急かした感じだったと思う、ぃゃ絶対そうだった。
同じ学年、同じ洋楽好きとなれば学生時代によく耳にしたバンドやレコードも話が合う。 クイーンは勿論の事、懐かしい70年代のバンド名が次から次へと飛び出し、印象に残ってるアルバム・ジャケットの話にまで盛り上がった。 ふと、時計を見ると予定時間をかなり過ぎていた。
先生が部屋の中に入ってきて、かなり慌てたけれど、家庭訪問でこれだけ先生と会話が楽しく弾んだのは 初めてだった。でも子カバが後でこう言ってきた・・ 子カバ「二人でマニアックな話ばっかりして、ワタシは退屈だったよ」
よーわかっとるやん!・・勉強もそのくらい物分かりが早いと良いのにねぇ〜 |