とある土曜日の昼下がり、電話が鳴った。
子カバ次女が所属するソフト部のチームメートのお母さんからだった。
とは言うものの、最初相手が名前を言っても「・・誰?」だった私。
次女の部活動に関しては試合とかの結果以外、私の方からあれこれ聞く事はほとんどない、ましてや
チームメイト全員の名前など覚えもしない。また、子カバもチーム内の事は(ケガしたとか事故に関して以外)
特に話はしてこないからだった。
「もしもし? ・・・」「わたくし、ソフト部でご一緒してるS子の母ですけど?・・・」
「・・ぁっ、はいはい、どうも。(S子ちゃんって聞いた事ないなぁ〜)」
「ちょっとヒドイじゃありませんか!!」っと、いきなり鼻息が荒い。
「あのぅ、何の事でしょうか?」と応えるや否や、S子ちゃんのお母さんはスゴイ勢いで喋りだした。
S子ちゃんのお母さんが何やら怒ってる原因は、今日行われたソフト部の子供達だけのミーティングにおいて、
S子ちゃんが(泣かされた)泣いて帰ってきたのだと言う事だった。そしてそれには、うちの子カバも入れて
4.5人から寄ってたかっていろいろ言われたのだと言う。
その「いろいろ」というのは、S子ちゃんが部活をよくサボっていること。S子ちゃんが部長であるA子ちゃんの事を
「早く辞めればいいのに」と思っている事、などを責められたと言う事だった。
S子ちゃんのお母さんの荒い鼻息は続いた。
「しかもね、A子ちゃんが部長を辞めたらいいって、親であるわたくしも言ってるんだって言われたそうなんですよ、
じょーだんじゃありませんよ、そんな事わたくしがいつ言いました? 言ってませんよ!
それに、そういう事をうちのS子を責めた子たちのお母さんたち皆も言ってたって、言われたんですけど?ひどいじゃないですか! 」
“なんなんだよ、いきなり・・・”(--;、と思いつつ冷静に応えた。
「すみませんが、まだ娘は帰宅してませんし、そんな話は私には初耳ですが・・」と言うと、
「ほんとですかぁ? 陰で言ってるんじゃないですかぁ?」と完全に疑われた口調に、
私は半分キレそうになったが、なんとか怒りを抑制して「うちの子を含めて、S子ちゃんを泣かせた事はお詫び致します。
でも本当に私はそういう事は何も知りません。娘が帰宅したらよく話しを聞いてみますので。」と、応えた。
しかしS子ちゃんのお母さんの怒りは治まるどころか、A子ちゃんとそのお母さんの昔の出来事をベラベラと喋り始めた。
どうやら、A子ちゃんとS子ちゃんは同じ幼稚園だったらしく、そのお母さんとはその時代からの付き合いらしい。
何年前の出来事か知らないが、その話ぶりからして、S子ちゃんのお母さんはA子ちゃんのお母さんの事をあまり良く思っていない事が
伝わってきた。しかも、どうもA子ちゃんが部長をやっているのも気に入らないようだった。私は彼女の話しをずっと黙って聞いていたのだが、
最後のセリフ、「・・・って事があったのよ、ヒドイでしょう?
だからね、今回の事もきっとA子ちゃんのお母さんが言いふらしてるのよ」で、我慢できなくなった。
“黙って聞いてりゃ調子こきやがって!”のセリフを飲み込んでから言った。
「いい加減にしてください、昔の事を持ち出して憶測で人を疑うなんて最低じゃないですか!」そして続けて、
もう一度今回S子ちゃんを泣かせた事を謝罪して、娘からよく事情を聞いた上でまた連絡しますという事を告げて電話を切った。
それから1時間程して次女が帰宅したので、話をじっくり聞いた。すると、
最初、S子ちゃんがよく部活をサボるのでそれを皆で注意していたら、練習がキツすぎるだのいろいろ言い訳してきたので、頭にきた誰かが、
「A子ちゃんが部長を辞めればいいとか思ってるんでしょ」なんて(突飛な)話を持ち出してしまったらしく、それに同調するかのように誰かが
「S子ちゃんのお母さんもそう言ってるって、うちのお母さんが言ってたもん」なとど言い出し、他の子たち3人プラス、うちの子カバまでもが
口を合わせて、「うちのお母さんも言ってた〜」と言ってしまったらしい。
・・・“このバカタレがっ!”
すぐさま、S子ちゃんに謝罪の電話をさせたが、子カバは泣きながら(←叱り飛ばしたから)、「私だって皆だって練習休みたい時あるのに・・・
S子ちゃんは昨日もサボったんだよ」と悔しそうな面持ちだった。私は「チームメイトとは仲良くしなさい」という事を言ってきかせたが、
正直言って、S子ちゃんのお母さんも同じ穴のムジナと言うか、自分が気に入らない相手を憶測で悪く言ってしまう態度は、
今回の娘たちの言動と同じではないかと思った。
その後、S子ちゃんのお母さんの元には、「うちのお母さんも」と言ってしまった子たちの母親全員から
謝罪の電話があったそうで、一件落着に思えたが、数日後また電話が掛かってきた。
今度は何事?と心配したが、
その内容は「今のコーチの練習内容って子供たちには辛すぎると思いませ〜ん?」から始まって、
S子が部活を休みたがるのは、きっと練習内容に問題があるからなのだと、私に同意を求めてきたのだった。
・・・(--)
S子ちゃんが部活を休みたがるのは、
ハッキリ言って、お母さん!あなたが過保護だからではないでしょうかぁぁぁぁああ〜〜?