・・・ぃゃ、有難かったですょ
・・・血を止める応急処置としては間違ってはいないと思いますょ
しかし旦那ならともかく、爺さん(旦那の父親)に舐められてしまって・・・・ぁぅ。
そして私はこの時、反射的に婆さんを見てしまった。
歳とっても、嫁であっても、ジェラシーはあるんじゃないかと。
だからかな、この時の婆さんの顔はハッキリと今も脳裏に残っている。
どんな?と言われるとちょっと言葉では説明できないけれど・・。
っと、そういうのはほんの一瞬であり、とにかく舐めたくらいじゃ血はとまらねぇー!
婆さんがタオルを持ってきて、私の左手ごとグルグル巻きにした。
「早く病院に行ってきなさい!子カバは見ててあげるから!」と親切に言ってくれたが、
車を運転できるのは私しかいないワケであり・・
近くの病院までは車飛ばして20分くらいであり・・
タオルをグルグル巻きにしたまま、エプロンに血がいっぱい付いたまま、私はギアもハンドルも片手で操作して病院に向かった。
病院の受付に行くと、ちょうど昼休みで受付カウンターには誰もいなかった。
私はカウンターに身を乗り出すようにして大きい声で叫んだ。
「すみませーーーーん!!お願いしますぅぅぅぅぅ!!」
2.3回そう叫んだら、やっとお姉さんが顔出してきてくれた。
「指を切ってしまったんですけど」と言うと、お姉さんは私を見て驚いた様子ですぐに内線の電話をかけてくれた。
( “血のりエプロン姿の奥さん”って、やっぱすごいインパクトあるんだろうな。)
お姉さんに言われた通り、11番ドアを開けて診察室に入った。
看護婦さんがグルグル巻きしたタオルを外しながら話しかけてきた。
「もうすぐ先生くるから、もうちょっと我慢してね〜」と言ったあと、
「今度から指を切ったら、手首を縛ってね」と言った。
( わかってますがな!頭では承知してるけどパニくっちゃうとこうなっちゃうわけよ。)
先生が入ってきて、消毒綿で私の左手をザバザバと拭き始めた。
小指の先から血はまだ流れで出ていたが、傷口がハッキリと見えて、先生が言った。
「切った小指の先の部分は?」
「え?・・ぁぁ、多分・・まな板の上に・・」
「持ってこなかった?・・うーん、持ってきてたらよかったんだけどなぁ〜」
「すみません・・」
そういう会話のあと、かなり手際よく処置されていき、最後に先生が訊いてきた。
「料理中に包丁で切ったの?でも小指は僕は初めてだなぁ(笑)どうやってやっちゃったの?」と。
私は、答えられずに苦笑いしままだった。
普通、まな板の上でウィンナーを切る時にウィンナーに添える指は、どう考えても親指と人差し指と中指の3本くらいだろう。
ウィンナーを左手に持って切ってたワケじゃないし、別に小指が通常より長いというわけでは全然ない。
自分でも、どうやってウィンナーを切っていたのか全然わからなくて答えることができなかったのだ。
その後、家に戻ると、キッチンはあのままで、
でも爺さん婆さんと子カバは朝の残りご飯を食べて済ませていて、
私は全く食欲はなくて、それより、血のついたまな板をよーく見てみた。
そしたら、包丁の横に小指の先と思われる皮と爪を発見した。
「これ、持っていっときゃ良かった・・」と思いつつ、片手で片付けしながら、
何度もウインナーを切ってるところを思い出していたが、どうやって切ったのかは思い出せなかった。
それは今だにわかりません、不器用者の成せる業なのかも・・・。(--;