(四人は湖沿いをスタジオに向かって歩いている。)
- フレディ
“いっつぁ・びゅーてぃふ〜で〜い” なあ、みんな、レマン湖はいつ見ても美しいよね。
- ジョン
うん、本当だね。
- フレディ
そう、変わらない美しさだ。僕たちの友情みたいなものだよ。
でも、ロック・シーンは変って行くのさ!時代とともにね。
- ブライアン
僕たちもデビューして10年、いろいろな事があったよなぁ。
- ロジャー
でも、こうしてめでたく『グレイテスト・ヒッツ』の発売だ。
- フレディ
そういうこと。でも、ベスト盤なんて魅力無いぜ。
過去にしがみつくみたいで!僕たちは、常に変化し続けるのさ。しかも前向きにね!
- ジョン
そういう意味では、このニューアルバムのレコーディングは毎日楽しいね。
- ブライアン
全くその通りだね。全米を制覇した僕たちに恐いものはないよ。
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(しばらく歩き続けていると)
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- ??????
(遠くから)う〜、う〜、う〜。
- フレディ
何か言ったかい、ロジャー?
- ロジャー
いや。
- ??????
(遠くから)あ〜、あ〜、あ〜。
- フレディ
オイ、何か聞こえないか?
- ブライアン
僕も聞こえた。湖の中からだよ。
- ロジャー
そんなバカな。モンスターでもいるのかい?
- ??????
(遠くから)そのとーりでーす。
- フレディ、ブライアン、ロジャー、ジョン
え?何だって。
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ザッバーン!(水の中から男が現れる)
- デヴィッド
ハロー、スペースボーイ。私がスケアリー・モンスターです。
- ロジャー
あー、デヴィッド。何やってんだい、こんな所で?
- デヴィッド
いや、ちょっと火星の生活に飽きてしまってね。
どうやら、同じ地球でも落ちる所をちょっと間違ってしまったみたいだね。
ハッハッハッハ。ベルリンに落ちる予定がよりによって、こんな爽やかな場所とは。
ところで、さっき気になる発言をしていたようだけど、フレディ?
- フレディ
え、僕が何か言ったかい?
- デヴィッド
そう、確か君だよ。君たちの音楽も今後...。
- フレディ
変化してゆくってことかい?
- デヴィッド
そう、その通り。ちぇ・ちぇ・ちぇ・チェーンジズ!だよ。
- ロジャー
懐かしいね、その曲。でも、それと君がなんか関係あるのかい。
- デヴィッド
ま、ま、つもる話しはスタジオでしよう。
- ジョン
(なんでスタジオに行くの知ってんだろう)
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(こうして五人はマウンテン・スタジオへと入っていった)
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- デヴィッド
ところで君たちはニュー・アルバムのレコーディング中らしいじゃないか
- フレディ
そうなのさ。ノリにノっている僕たちを止めるられる者は誰もいないってことだよ。
- デヴィッド
最近はアメリカでもかなり売れてるらしいね?
- ロジャー
ああ、ナンバー1が2曲さ。最高の気分だよ!
- デヴィッド
しかーし。次は甘くないぞ。
- ブライアン
僕もそう思うよ。アメリカでイギリス人が成功し続けている例は数少ないし。
- フレディ
エルトン、ロッド、ミック、ポール...そんなところか。
- デヴィッド
イエース。でも、彼らと比較するにはあまりにも、我々は英国人なんだよ。
- ジョン
で、何をするの。
- デヴィッド
力を合わせるのさ。お互いにね。
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(スタジオでジャム・セッションが始まる)
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- フレディ
デヴィッド、どんな風にやる?
- デヴィッド
適当に鳴らしてもらおう。
- ブライアン
(ギターを掻きむしゃるかのように弾く)ジャジャジャ〜ン。
- デヴィッド
ストーップ!僕の好みじゃない。
- ジョン
こんなのはどうだい?(例の「アンダー・プレッシャー」のイントロを弾き始める)
- デヴィッド
いいね。その調子!フレディ歌ってくれよ。
- フレディ
ぶんぶん・ばべ、ぶんぶん・ばべ、ぶぶぶん・ばー・べべ。
- デヴィッド
フレディ。最高だよ。
- フレディ
そうかい?ぶんぶん・ばべ、ぶんぶん・ばべ、ぶぶぶん・ばー・べべ。
- デヴィッド
はっはっはっは、面白いよ。
- ジョン
歌詞はないのかい?
- デヴィッド
それがいいんだよ。その調子フレディ!
- フレディ
パラピロポ!ピロ!レロッ!っとこんな感じかい?
- デヴィッド
そうそう、僕も歌うぞ。あ〜あ〜あ〜あ〜あ〜あ〜あ〜あ。
- フレディ
ノってきたぞ。でぃでだ、いでだ!ぶんばばべべ。だらぱらっぱ!
- デヴィッド
う〜う〜う〜う〜う〜う〜う〜う〜う〜う〜う〜う〜。
- フレディ
いだでぃだでぃだでぃだでぃだ、オッケー!
- ブライアン、ロジャー、ジョン
(二人の姿に呆気に取られて)一体なんて曲なんだ.......。
- デヴィッド
あ〜う〜あ〜う〜、ラーヴ、ラーヴ、ラーヴ、ラーヴ!フレディ一緒に。
- フレディ&デヴィッド
ら〜ぶ、ら〜ぶ、ら〜ぶ、ら〜ぶ、ら〜ぶ、ら〜ぶ、ら〜ぶ
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(こうしてレコーディングは深夜まで掛かった)
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- デヴィッド
いや〜、フレディ素晴らしかったよ。
- フレディ
デヴィッド、君のほうこそ最高だったよ。
- ロジャー
ところでフレディ、この曲はニュー・アルバムに入れるのかい?
- デヴィッド
(ピクッ)
- フレディ
うん、そのつもりだよ。
- デヴィッド
(ヤッター)それはいい!いつ出るんだいそのアルバムは?
- ブライアン
この調子だと、来年の春頃だね。
- ジョン
その前に、『グレイテスト・ヒッツ』があるからね。
- デヴィッド
(ビクッ、“ベスト盤”が出るのか、そっちもいいな)
- フレディ
さ、もう帰ろうぜ!楽しかったよダーリン。またね。
- デヴィッド
えっ、あ・あ、そうだね、楽しかったね....。
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(五人はバラバラにホテルに帰る)
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- フレディ
今日も素晴らしい一日だった、“いっつぁ、びゅてぃふーでーい”っと。
(デヴィッドがフレディを追いかけ走ってくる)
- デヴィッド
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。
- フレディ
どうしたんだいダーリン?
- デヴィッド
あ、あのさ、出るんだろ今年、ベスト盤?
- フレディ
うん、そうだけど。どうして?
- デヴィッド
一ついいこと教えてあげるよ。
- フレディ
何だい?
- デヴィッド
ベスト盤が売れるコツさ。
- フレディ
へぇ〜、どうするんだい?
- デヴィッド
それはね、一曲だけ新曲を入れることさ!
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(こうしてデヴィッド・ボウイと共作した「アンダー・プレッシャー」は
『グレイテスト・ヒッツ』に新曲として収録され日本でもかなり売れまくったのだった。
※現在CDでは収録されていない模様)
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