PARTY for men
ジョン・ディーコンはベーシストである。 ポール・マッカトニーのように、ベーシストの中にも存在感たっぷりの人物もいるが、 ジョン・ディーコンは読者が通常想像するベーシストとそう大差ないことは、 ホテルのドアを開けて入って来た彼の姿で一目瞭然だった。全くもって普通の人なのだ。

K 朝早くからすみません。早速ですが、パーティーのことを語らせたら、あなたの右に出るものはいないと。
John まあ、ステージの上でも右だけは譲らないからね。フレディ以外には。
K 常々、あなたは“自然体が一番だ”と話されていますが、パーティーにも同じ気持ちで望むのですか? つまり派手さは必要無いという意味でですが。
John そもそも“自然体で望む”という意識自体が自然じゃないよ。 パーティーも、タバコを買いに行くついでに立ち寄るぐらいじゃないとね。 「ちょっと、父さん、そこの角まで行って来る」なんて息子に話して出て行くもんだよ。 で帰宅して、「遅かったわね、アナタ」なんてワイフが言おうもんなら。「あの自販5百円玉が使えなくてね、世の中不便になったもんだよ」と。 誰も僕がパーティーに行ったなんて気付かないぜ!ハッハッハ。
K それは、単に嘘ついてるっていう話でしょ。 ま、そのことは置いといて。いずれにしても、そんな普段着じゃパーティーでは目立たないでしょう。
John だから、ナニ?
K いや、パーティーではここぞとばかりに着飾ってる人が多いわけじゃないですか。
John なら、目立つじゃない。僕だけ着飾ってないんだもの。
K 口が達者でいらっしゃいますね。
John 言っとくけど、僕はお喋りじゃないよ。パーティーでも同じさ。 みんな自分の自慢話をペラペラ喋って、最後には自爆さ。 女の子ってそういうの大嫌いだろ?
K ま、まあ、そうですかね。確かにお喋りには、うんざりすることが多いですね。
John うんざりザリガニ!
K ・・・。
John つまりはさ、喋らないじゃなくて、喋り過ぎないってことさ。 だって次が無いだろ?あまり喋っちゃうと。 相手に“また会って話をしたい”と思わせるくらいで止めておかないとね。
K 意外と細かい作戦立ててますね。本当に自然体なんですか?
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