風 / 『風』ファースト・アルバム
Side A
1.ダンシングドール
2.海岸通
3.なんとなく
4.星空
5.でい どりーむ
6.ロンリネス

Side B
1.あいつ
2.桜の道
3.東京1975
4.はずれくじ
5.男は明日はくためだけの靴を磨く
6.お前だけが

LP: CROWN GW-4013
Producer: Yutaka Goto , Tsuguo Sato
Arranger:Kazumi Seo, Takahiko ishikawa, Masataka Matsutoya.
Vocal:Shozo Ise, Kazuhisa Okubo.
Chorus:Tatso Yamashita, Taeko Onuki, Kunio Muramatsu, Minako Yoshida.
Drums:Kiyoshi Tanaka, Tatsuo Hayashi, Jun Moriya.
E.Bass:Tsugutoshi Goto, Haruomi Hosono, Hideaki Takebe.
E.Guitar:Kimio Mizutani, Takashi Yajima, Ginji Ito, Yasuo Yoshino.
A.Guitar:Takahiko Ishikawa, Tadahide Yoshikawa.
Percussion:Motoya Hamaguchi.
Keyboad:Kentaro Haneda, Masataka Matsutoya, Shigehito Ohara.

*『風』のメンバーは伊勢正三さんと大久保一久さんです。
懐かしすぎてアルバムにセピアカラー入ってます。(^^;

伊勢さんと言えば、『かぐや姫』。『かぐや姫』と言えば、 “神田川”“赤ちょうちん”“妹”と、この3曲が大ヒットした1973年〜1974年当時、私の周りは フォーク・ソング一色でした。それに白いギターってのも人気でした。
ちなみに私もこの頃フォーク・ギターを買ってもらって、初めて一生懸命練習したのは、♪禁じられた遊び!(笑)

1975年、『かぐや姫』の活動を一時停止して伊勢さんが『猫』のメンバーだった大久保さんと『風』を結成したわけですが、そのデビュー曲“22才の別れ”を聴いて大好きになり、同年6月に発売されたこのアルバムを購入しました。しかし、79年に『風』が解散するまで、後にも先にも私が購入したアルバムはこのファーストだけです。

実を言うと、私は『かぐや姫』より『風』、『風』より『井上陽水』派です。
陽水の1972年のデビュー・アルバム「断絶」、セカンドの「センチメンタル」そして1973年の「氷の世界」 で、完全に私の中で彼はフォークの王者として確立されてしまっていたわけで、1974年には既に何者もそれ以下という感じになってしまってました。

さて、このアルバムを今聴いているのですが、随分昔にタイムスリップしてる気分になります。 (陽水のアルバムではそういう雰囲気は全く感じられませんが・・)サウンド自体に懐かしさと同時に古くさい感じが漂ってきます。だからなんとなくこのアルバムを聴いていると、ちょっとこっ恥かしい気分になってきます。

で、そのこっ恥かしさをなんとか押しのけて今B面を聴いてますが、当時お気に入りだったのはB面でした。 その1曲目「あいつ」は今でもお気に入りです。曲調で好きなのは同じB面の「はずれくじ」「男は明日はくためだけの靴を磨く」で、歌詞で大好きなのはA面の「でい どりーむ」。“えび茶色のランドセル”、“かとりせんこうの煙”ってのがすごい好きでした。
そして!私が大好きな陽水のアルバムを後に廻してもこのアルバムを取り上げた一因と言うか、思い出さずにいられない!と言うか、そんな強い想い出がB面ラストの
「お前だけが」という曲にあります。

私が中学2年生の秋の事でした。
当時生徒会長してた1年先輩から突然の告白、交際を申し込まれました。 でも私はその先輩の事は生徒会長さんとしてしか意識してなかったので、一度は「ごめんなさい」してしまったのですが、その後、生徒会の4役である先輩達から「良いヤツだからもう一度考え直してくれ!」と半ば強引に頼まれてしまって・・「文通だけなら」って事で返事をしました。

それから1週間程して、その先輩から最初の手紙を受取りました。
そしたら、開けてびっくり!ムチャクチャ綺麗な字! 1年先輩だけど、いくら生徒会長してるからと言ったって、男子でこんなに綺麗な字を書く人と出会ったのは私は生れて初めてだったのでかなり驚きました。でも後で生徒会4役の一人がこっそり私に教えてくれたのですが、私が文通交際の返事をしたその日から一所懸命に綺麗な字の練習をしていたそうです。

手紙交換が続く中、自分は先輩との交際を学校の皆に公にはしたくなくて、 でも先輩はそんな自分の気持ちとは逆で、私が登校する時間には必ず校門に立っていたり、 私が所属してる委員会に頻繁に出席したりとかして・・とにかく、先輩の私に対する想いが 強く伝われば伝わってくるほど、私はちょっとずつ苦手になっていってました。

冬になって文化祭が開催されました。
メイン会場である体育館のステージ上では男子によるフォークやロック・バンドが次々と出演していて ほとんど全生徒が集まってました。そしてラストのステージに先輩が友達と二人でギターを担いで登場しました。 その時先輩たちが演奏したのが『風』のこのアルバムに収録されてる曲でした。 そして、「お前だけが」を最後の曲として演奏。唄うのは先輩の友達の方でしたが、 突然先輩はギターを弾きながら周りの目もはばからず真っ向から私を直視!
私の周りに居た人達が私の座ってる場所を大きく空ける様な態度をとって、ヒューヒュー言って冷やかされ、もぅ私は恥かしいのとどうしようもない状態に身動き出来なくて、最後までずっとその場で俯いてました。・・ちょっと泣いてしまいました。

という想い出なのですが、泣いたのは決して 感激してではないです。(当時は周りからこの涙をエライ誤解されてしまったのですが) この時まだ13歳だった私にはこのシチュエーションはかなり強烈だったのです。
今でもこの曲を聴くとあの時の自分の姿が鮮明に浮かんでくると同時に、・・・なんと言うか・・・ うーん、なんとも言い様のない気持ちが渦をまいて湧いてくるのでした・・・。
by Mikan.


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