SIDE 1 |
1.
Innuendo |
■Words and Music by Queen |
中間部分でスパニッシュ・ギターを弾くのはイエスのスティーヴ・ハウ。
そのスパニッシュ・ギターの部分は特に好きなシーンです。冒頭から厳粛な雰囲気が漂い、それは王者クイーンの風格を
示すかのようで、一発目から只ならぬ気配をビシバシ感じつつ、最初はじわじわと静かに、そして秘めたる熱き情熱の嵐が襲ってくるようなこの大作に、驚愕!
かなり気合を入れて作ったという印象を受けます。
初めて聴いたときは、サビらしきものが無いせいか、あるいはタイトルが歌われないせいか、正直言って掴めなかったです。
しかし、感動の頂点が中盤のスパニッシュギター部分ではなく、最後の最後だと感じた瞬間から大好きになりました。
確かに異国情緒満点のギター・ソロは覚えやすくとても魅力的ですが、
惹かれるのはそういった一部分ではなく、後半に向かえば向かうほど盛り上がるという曲全体の流れです。
まるで、津波警報が出ているにもかかわらず、目の前の小さな波を見て“大丈夫でしょ”と思い釣りをしていたら、
いつのまにか津波に呑みこまれてしまった・・・という感じです。
中盤の静かな部分は、一瞬冷静に“おや?何か様子が変だぞ”と辺りを見回す瞬間なのですが、
その時点で気付いたのでは既に遅く、ブライアンのギターとともに激しい風が吹き荒れます。
そして小さな波は、知らぬ間に大きな津波となって貴方を襲ってくるのです!
QUEENの“力量&器の大きさ”を思う存分見せつけてくれる名曲です。
【シングル履歴】
◎U.K. Release Date : 14 January 1991
△Highest Position on U.K. Chart : No.1( 1 week )
アルバムからの第1弾シングルで、英国では「Under Pressure」以来実に10年ぶりにNo.1に輝くことになった。
日本ではCDシングルが発売された。
【リミックス】 Explosive Version
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2.
I'm Going Slightly Mad |
■Words and Music by Queen |
アナログLP盤はエディット・ヴァージョンを収録。邦題は「狂気への序曲」。
このヴォーカル!この歌い方!それまでのフレディとは違った雰囲気に驚かされながらも完全に呑み込まれてしまいます。
それから、よく聴いてるといろんな音が聞こえてきます。それはイメージ的には“虫歯キン”みたいな格好したヤツなんですけど、
まるで小悪魔みたいにニヤニヤしながら、そいつがフレディのこの異様なヴォーカルから見え隠れします。
このアルバムを初めて聴いたとき、真っ先に気に入った曲です。もちろん今でも大好きです。
一歩間違えれば、とても安っぽい曲に映ったかもしれないサウンド感ではありますが、
フレディの低音(というよりは本来のキー?)を活かしたヴォーカルが、見事なほど曲に調和しております。
詞も素晴らしい!
【シングル履歴】
◎U.K. Release Date : 4 March 1991 △Highest Position on U.K. Chart : No.22
第2弾シングル。
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3.
Headlong |
■Words and Music by Queen |
よっ待ってましたっ!レスペが唸るぜ〜っ!ホントにクイーンらしくて大好きだよ。聴いてて心底楽しめる曲。
だからこれは、細かいこと言いっこなしだよ!
これはとてもカッコいい!
久しぶりにブライアンが早めのテンポで曲を引っ張るハードロックです(「Dead On Time」以来?)。
コーラスも例によって一回一回変化するあたりは見事だし、何よりもものすごく楽しいのです。
まさに多くのファンが待ち望んでいた曲ではないでしょうか。
【シングル履歴】
◎U.K. Release Date : 13 May 1991 △Highest Position on U.K. Chart : No.14
第3弾シングル。日本でもCDシングルが発売される。
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4.
I Can't Live With You |
■Words and Music by Queen |
これは、100m先から聴いてもQueenだと判る!とにかくブライアンのレスペとフレディのヴォーカルが冴え渡ります。
そしてその二つは“クイーンの看板”であると(私は)断言します。
「Headlong」を誉めながらも、実はこちらの曲の方が好きだったりする私です。
あらゆる部分でQUEEN流ハーモニーを思う存分堪能できますが、特にサビの“あい・きゃん・りぶ・・・”が、“う〜わっきゃん”になるところはポイントです!
ブライアンのギターも、最後のみならず全体的に冴え渡っております。最高です!
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5.
Ride The Wild Wind |
■Words and Music by Queen |
カッコいい〜〜!カッコいい〜〜!これ、むちゃくちゃカッコいい〜!
フレディとロジャーの低音ヴォイスが両者ともゾクゾクする程響いてくるし、ベースの重厚なサウンドに湧き上がるレスペの嵐の舞いが、これまた凄い!
・・こりゃもぅ〜たまりませんな。
“Live life on the razors edge”・・・う〜ん、シビれますなぁ。
この言葉自体カッコいいけど、それとは別に、発音&イントネーション的な部分において、ロジャーの声に妙にハマるフレーズです。
フレディの“歌う”というより、ちょっと“語り掛ける”ようなヴォーカルもいいです。
まさに嵐。
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SIDE 2 |
1.
All God's People |
■Words and Music by Queen and Mike Moran |
キーボードを弾くのは共同作者でもあるマイク・モーラン。邦題は「神々の民」。
まるでフレディがステージから叫んでるみたい。そのヴォイスは後期の(代表的な)ライヴでの彼だと感じます。
そしてバックで唸ってるレスペにしばらく気が付かない程、フレディのヴォーカルはすごい気迫です。この曲は丸ごとフレディの世界って感じ。
これぞQUEENです!というよりフレディです!(コーラスは全てフレディの声じゃないかと・・・)
さてこのアルバム、アナログ盤だとA面には“前に進む/突進する”又は“吹き荒れる/狂う”といった、
コントロールを失った状態を表現した歌詞・曲調が目立ちます。
そこで重要となるのが、アナログ盤B面1曲目にあたるこの曲です。
この曲において、A面の制御不能な状態を神に託すことにより、何とか平安を取り戻すのです。
つまりレコード盤をひっくり返すと同時に、内容も“動”から“静”へと180度方向転換するというわけです。
急ぎ過ぎていた自分に対し、“落ち着け!お前も神の民なんだから”と。
【シングル履歴】A3の英国盤シングルB面。
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2.
These Are The Days Of Our Lives |
■Words and Music by Queen |
邦題は「輝ける日々」。
個人的にこのアルバムの中で一番好きな曲であり、特別な曲であり、感動の名曲でもあります。
走馬灯の様に懐かしい彼等が脳裏に蘇りつつ、Queenの終演を感じてしまい、ラストの歌詞と曲中のレスペの音色が私の涙腺を切ってしまいます。
猛スピードで生きてきた自らの一生は、初めから“何も変わっていない”・・・とするこの曲ですが、
その“変わっていない”ということが、否定的ではなく幸福な気持ちを持って歌われるところに、ファンは感動するのではないでしょうか。
ケン玉で遊ぶ無邪気な姿、ライヴエイドでのうれしそうな顔・・・目を閉じると思い出すたくさんの笑顔が涙を誘います。
そしてそれを助長するかのように、ブライアンのギターが哀しく響きます。永遠の名曲。
【シングル履歴】
◎U.K. Release Date :1991 △Highest Position on U.K. Chart : No.1( 5 weeks )
「Bohemian Rhapsody」とダブルAサイドとしてシングル・カットされ、
1992年2月《BRITS賞》で年間最優秀シングル、同年4月《アイヴァ・ノヴェロ賞》でベスト・セラー・シングル賞を受賞している。
日本でも同じカップリングでCDシングルが発売された。
また米ハリウッド・レコーズからは、1991年「We Are The Champions」の7インチ・シングルの再発盤のB面として、
この曲が収録された。
【ライヴ】 「Live at Wembley Stdium」(with Gerorge Michael and Lisa Stansfield)
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3.
Delilah |
■Words and Music by Queen |
邦題は「愛しきデライラ」。
“デライラ”はフレディが一番可愛がってた猫の名前です。
この曲でのレスペの音色がすごいです。どうやって弾いてるのかな?デライラの表情がレスペの音からよ〜く伝わってきます。
それと同じく、デライラを我が子の様に可愛がるフレディの様子も、手に取る様に伝わってきます。でもちょっぴり、デライラに嫉妬しちゃいそう。
それにしても、ここでこういう曲を入れてくれたのは、フレディの優しい心配りでしょうか?・・そっとハンカチを差し出してくれた様な感じがします。
猫もこの曲も大好きな私です。
猫って本当にここで歌われているように、幸せな気持ちにさせてくれます。
さてCDでは、この曲と次の「Don't Try So Hard」が隣り合わせでは無くなってしまいますけど、
実際この2曲の内容は、全く違うようでいて微妙にダブります。
それは「一番幸福な時間って、猫と一緒に居る時!」という単純な話ではなくて、
何て言いますか・・・難しいのですが、「もうボクは大丈夫だよ、だって、ほら、デライラを見てごらんよ!」ということです。
この曲も「Don't Try So Hard」の気持ちから派生した、笑顔と涙の曲なんです。
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4.
Don't Try So Hard |
■Words and Music by Queen |
フレディは何故こんなにも優しく救ってくれるのだろうか・・・まるで真綿に包みこんで癒してくれる様な歌詞、
そしてとてつもない芯の強さを感じるフレディのヴォーカルに、感謝を通りこして、もはや溢れる涙で言葉も出ません。
私の中では、間違いなくQUEEN号泣ベスト3に入る傑作中の傑作です。
しかし大きな哀しみと同時に、最高の感動もこの曲は与えてくれます。
特に詞が素晴らしいと言いますか、共感を覚える内容なのです。
それはタイトルとは裏腹に非常に重い、そして深い内容で、「存在の耐えられない軽さ」と言っても良いでしょう。
何のために生まれたのか?何のために生きているのか?終わるとはどういう意味なのか?・・・こういった事は、誰もが一度でも考えることだと思います。
しかしその前に、そもそもこう考える“私”とは一体何なのでしょう?
生きる目的や生きている意味ではなく、私というその存在自体が「あまりにも重くあまりにも軽い」のです。
“I sometime wish I'd never benn born at all”と歌い、“How can I go on from day to day”と歌ったフレディが、
ここでは“Don't try so hard”と歌っています。何よりも優しい言葉です。そして勇気付けられます。
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5.
The Hitman |
■Words and Music by Queen |
アナログLP盤はエディット・ヴァージョンを収録。A2のシングルB面。
ハードなナンバーです。曲の構成より、アルバム自体にスパイス的効果があるんじゃないかと感じます。
さあ最後です。この激しさを持って、一旦このアルバムも終了です。
もう「Delilah」と声を掛ける時間も、「Don't Try So Hard」と自分に言い聞かせる時間もないのです。
それは覚悟と言ってもいいでしょう。後は「Hitman」になるしかないのです。迎え撃つだけ、闘うだけなのです!
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6.
Bijou |
■Words and Music by Queen |
アナログLP盤はエディット・ヴァージョンを収録。
聴いてると目の前が真っ白になってきます。レスペの音色が最初、何か語り掛けてる様に響いてきて、
その白さは眩しいくらいに美しく、そしてラストは、そのレスペから雫(涙?)が光って滴り落ちたみたいに感じます。
“鳴いてるレスペ”はこれまでたくさん感じてきましたが、“泣いてるレスペ”は初めてです。
暗闇の中、前方から一本の光が見えてくる。自分を導く光が見えてくる。
この曲からは、そんな印象を受けます。
暗闇という行き場を失った状態で、光が指し込めば、当然目指すのは光を発する場所。
それは闇の中をさまよう恐怖から逃れる、唯一の道なのであります。
【シングル履歴】A1のシングルB面。
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7.
The Show Must Go On |
■Words and Music by Queen |
私には「そんなに頑張ることはないさ」って優しく言い残して、彼はフレディ・マーキュリーを演じようとステージに向っていく・・。
私はそんな偽りの後ろ姿をただ温かく見送るしかない、けれど、そんな風に歌われたら、心は引き裂かれんばかりです。
この曲はこのアルバムの最後というより、むしろ今までのQUEEN全アルバムのラスト・ソングでしょう。
“僕は飛べるんだ!”・・・最後だからといって「出来ない」じゃなくて「出来る」と言い切るところに感動します。
ただ「ショウはまだ続く」としながらも、「望むものは何も無い、運に任せる」とも歌うフレディの本当の気持ちを、
ここで全て理解しているかのようには絶対書けません。実際のところ、私には分かりません。
【シングル履歴】
◎U.K. Release Date : 14 October 1991 △Highest Position on U.K. Chart : No.16
第4弾シングル。
【ライヴ】 『GREATEST HITS V』(+ Elton John)
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